くまちゃん

TIGER & BUNNYのくまちゃんのレビュー・感想・評価

TIGER & BUNNY(2011年製作のアニメ)
5.0
ヒーロー=職業といういかにも真面目で働き者な日本の国民性に合致した世界観のパイオニア的作品。
少年を主人公に据えるアニメが多い中で中年に近い子持ちのおじさんをメインに置き、ヒーロー活動する上でのスポンサーに実在の企業が登場するなど、斬新な設定が目白押し。
仕事もプライベートも崖っぷちの主人公虎徹が、もがいて頑張るさまは、震災直後の我々に深く刺さり、応援したくもなり、自分も頑張ろうと勇気ももらった。
個人的に虎徹のがに股でのけ反ったおじさん走りが無理に格好良くしない飾らない素のままで好感が持てる。


バトル物は基本的に回を追う事に、新しい敵を撃破する事に心身共に成長し強くなるが、虎徹は逆に弱くなることで、人間ドラマに深みと哀愁を添えている。

VSジェイク・マルチネスを経て、バーナビーの虎徹に対する呼び名が「おじさん」から「虎徹さん」に変わった時は胸が熱くなった。
ジェイクとクリームが藤原啓治と根谷美智子というのも味わい深い。

ジェイクの選民思想やルナティックの危険な正義など、各々の価値観が絡み合い視聴者をも巻き込んで倫理を考えさせられる。

個人的に娘を溺愛する虎徹と父に対して冷めた態度の楓。とある事故をきっかけに二人の関係が修復される話は何度見ても泣かせられる。
楓はフィギュアスケートを嗜んでいるため、虎徹の収入もそれなりに高いものだと推測される。

ベンさんや斎藤さんなどヒーローの身内のキャラが濃すぎる。特に自身が虎徹の年齢に近づくにつれ、ベンさんの優しさが胸にしみる。

ラストのクリフハンガーは11年越しで描かれることを望む。
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