こたつむり

岸辺露伴は動かないのこたつむりのレビュー・感想・評価

岸辺露伴は動かない(2021年製作のアニメ)
4.0
『ジョジョの奇妙な冒険』第四部に出てくる《岸辺露伴》をナビゲーターとして、奇妙で不思議な物語を描いた短編集(と言っても、彼が巻き込まれる話もあるので純然たるナビゲーターではありませんが)。

何よりも原作の雰囲気を壊さない配慮が素敵。
背後のモブ(群衆)はシルエットだし、擬音も描きこまれるし、色気が漂う唇の形も原作そのまま。間違いなく「これがいいんじゃあないかッ!」と傍点付きで言いたくなるほど。

ただ、正直なところ。
荒木飛呂彦先生のタッチとアニメは相反する要素。それを両立させた苦心は買いますが…やはり、僕は原作の方が良いなあ…なんて感想を書いたら呪われちゃうのかしらん。ガクブル。

まあ、そんなわけで。
原作再現度で言えば最高峰のアニメ。
異世界に巻き込まれるような気持ちで臨むことをオススメします。また、それぞれのエピソードは独立しているので、気になったところから“つまみ食い”しても面白いです。

それでは、参考までに各話ごとの感想を。

エピソード5『富豪村』
舞台設定が奇妙なだけで、物語としては近年の『ジョジョの奇妙な冒険』っぽい筆致。それでいても、荒木飛呂彦先生の独特な雰囲気が十二分に味わえます。それだけ分かりやすい物語ということですね。

エピソード2『六壁坂』
『富豪村』と違って、展開が奇妙…というか純然たるホラー。サスペンス要素を“目くらまし”に使っているところが絶妙です。何しろ、そこが主軸じゃあないんだものなあ。

エピソード16『懺悔室』
原作では、ここから『岸辺露伴は動かない』が始まったわけで。全ての要素がギュッと凝縮された傑作です。原作で気になったミスリードも上手く解消していました。《岸辺露伴》が純然たるナビゲーターであるのも好印象。ホラーを思わせる演出もベネ(良し)。

エピソード9『ザ・ラン』
原作で言えば最新作となる物語(2021年11月現在)。スタンドの概念がバリバリに入っているので、原作未読だと堪能しきれない可能性があります。本作で面白いのは、奇妙なのが舞台や設定ではなく、人物ということ。確かにボルタリングの絵面って気持ち悪いですよね。
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