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ブルーピリオドのinunohitoのレビュー・感想・評価

ブルーピリオド(2021年製作のアニメ)
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絵を描いてる、描く前にあたまのなかに自分が入っていく、みたいな表現が綺麗だった。

芸術には正解がない、みたいな言葉はありがちだけど、本当は正解があるんだと思う。ひとそれぞれそのときそのときで正解が違うだけでそれぞれに確かに正解がある気がする。

原作の絵の質感がすきだから、アニメのキャラクターの艶感や彩度みたいなものがちょっと違和感があったかもしれない。

誰かの言葉に爆発させられるような心地で泣きながら絵を描くシーンとかって、経験のなかに引き出しがなければきっと描けない。絵の上澄み、絵以外もあるくせに、俺の好きだけが俺を守ってくれるんじゃないのかなあ。いつもキャラクターそれぞれの言葉をズタズタにされるみたいな心地で浴びる。内側ぜんぶひっかきまわされる。でもちゃんとやさしいところがある。

実技試験のあと泣きながら大学受験の会場から家へ帰ったよな、とかそういう自分の体験を思い出して毎回死ぬ。自分の大学生のときのあれこれとユカちゃんの涙を重ねて死ぬ。上手い絵が良い絵になり得るわけではないことを痛感する。別に絵が描けるから描いてるわけじゃない。

ブルーピリオドは何年経っても俯瞰で観れそうにない世界。
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