KengoTerazono

フレッシュプリキュア!のKengoTerazonoのレビュー・感想・評価

フレッシュプリキュア!(2009年製作のアニメ)
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これが今も続くプリキュアのベースとなっているのではないかと思う。ポピュリズム的な性格がとても強く打ち出されていて、女児がその中核を担っているから。

私たちは敵と戦うプリキュアをTVを通して観ているが、アニメ中の女児も同じように自分たちの街を守るプリキュアをTVで見ている。そしてアニメ内の女児は「正しいプリキュアの見方」を私たちに提供している。それはプリキュアを応援し、プリキュアが必殺技を決めるときに一緒になってポーズをとり、敵を倒したら喜ぶという見方である。アニメ内の女児たちはプリキュアに半ば同一化することでそのようなプロセスを得ているわけだから「みんなプリキュア」と「プリキュアの応援者」を両立している。他方我々はアニメ内の女児らを経由してプリキュアに同一化するわけなので、「みんなプリキュア」よりも「プリキュアの応援者」という側面の方が印象深くなる。プリキュアが中心にいるようで、周縁者によってその中心が微妙にズレる。

ラビリンス戦はポピュリズムここに極まれりという感じだった。メディアを通してプリキュアの戦いを知った国民らが真実を掴むためにプリキュアの応援をする。その中心にいるのはやはり女児なわけだが。『スミス都へ行く』の反復を観ているようでおもしろかった。

イメージとしては『YES!プリキュア5』が今のプリキュアの基盤な気もするが、物語構造や主題的な面では『フレッシュ!プリキュア』が今のプリキュアを形作っていると言えるだろう。

余談だけど、せつなめっちゃ好き。光堕ちするのに一度死ななければいけないという厳しさも萌える。以降も光堕ちプリキュアは出てくるが、どれも「真の敵に操られていた」人たちばかりである。そんななかせつなは、自らの意志でラビリンスに忠誠を誓っていた。彼女はプリキュアとして戦っている際ずっとかつての自らの意志と、今の自分の意志に向き合っていた。意志や信念と格闘する彼女がとても良かった。
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