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ルパン三世 PART IVのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ルパン三世 PART IV(2015年製作のアニメ)
4.7
抜群の頭脳で難関を突破、いかなる標的も必ず奪う大泥棒で美女が大好きなルパン三世が、イタリアとサンマリノを舞台に数々のターゲットを狙う!
ルパンの計画を共に遂行するのは、相棒にして無敵のガンマン・次元大介と居合抜きの達人・石川五ェ門。それに正体不明の美女・峰不二子。だが彼女は敵か味方かわからない。
一方、彼らを追うのはルパン逮捕に執念を燃やすICPOの敏腕捜査官・銭形警部。
このお馴染みの面々に加え、自由奔放なセレブ娘レベッカ・ロッセリーニがもう一人のヒロインとしてシリーズに大きく関わっていく。 そしてイギリス諜報部MI6もルパンの動きを探ることになる。キャラクターひとりひとりの際立つ存在感。
ただ群れるのではなくプロフェッショナルがミッションのために手を組むという関係性。軽妙なユーモア。随所に登場する実在の銃器や車輛。信頼と裏切りが錯綜し、最後の最後まで何が起こるかわからないスリリングな展開。
『ルパン三世』のオモシロサをギュッと凝縮した、超一級のエンタテインメント作品。

ストーリーは、ルパンがお騒がせセレブ・レベッカ・ロッセリーニと結婚するシーンから、始まる。前半は「愛」がキーワードになり、そのキーワードにまつわるターゲットやミッション(名家の結婚式の時にしか日の目を見ないリベルタスの王冠、スーパーマジシャンが命懸けで弟子に託したマジックレシピ、かつて大人気だった歌姫が所有していた思い出の愛車、惚れ薬を配合した幻のワイン「恋煩いのブタ」など)をルパンたちが狙うサスペンスアクション路線のストーリーの中で、このシリーズの鍵を握る「イタリアの夢」と開発者の浦賀航の死の謎解きが徐々にクローズアップされる。後半では「イタリアの夢」を使い現代に甦ったレオナルド・ダ・ビンチが、ルネサンス期の輝きを失った現代を再構築しようとする企みにルパンたちが立ち向かう奇想天外なストーリーが展開する。
今回のルパンたちの敵は銭形刑事だけでなく、MI6イギリス諜報部のエージェント・ニクスという音の反響で周囲の状況を把握するエコーロケーションとねずみ以上の反射神経を武器にする最強の敵、そしてダ・ビンチがルパンたちに立ちはだかる。
ルパンと次元や五右衛門のドライな男同士の友情、次元や五右衛門や銭形刑事たちの男のプライド(ガンマンとしての次元のプライドが描かれた「我が手に拳銃を」五右衛門のサムライとしてのプライドが描かれた「殺し屋たちの挽歌」銭形刑事の刑事としてのプライドが描かれた「満月が過ぎるまで」)、ルパンを巡っての不二子とレベッカの三角関係(ルパンに対する不二子の心情が明らかになる「恋煩いのブタ」、レベッカがルパンとの恋を決着する「ルパンを頂戴します」は女子目線の名エピソード)、誇り高い女医者リービアや悲しき女殺し屋ベラドンナなど個性的で魅力的なキャラクター、ルパン三世初期シリーズを支えた大塚康生にオマージュを捧げた「日本より愛を込めて」やルパン三世と気弱な教師がダイアモンドを巡って手を組む「ハイスクール潜入作戦」、「ルパン三世の最後」「皆殺しのマリオネット」のように見る者を裏切り驚かせるサスペンスも健在で、ルパン三世本来のハードボイルドな魅力が凝縮された傑作シリーズです。
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