ちょげみ

化物語のちょげみのレビュー・感想・評価

化物語(2009年製作のアニメ)
4.2
【あらすじ】
直江津高校の同級生である戦場ヶ原ひたぎの抱える秘密を知った阿良々木暦は、彼女の悩みを解決する一助になれると助力を申し出るも、にべもなく拒絶されてしまう。
しかし、阿良々木暦も彼女と同じような特異な体質であることを実際に見せた結果、戦場ヶ原は不承不承、彼の提案を承諾する。
そして戦場ヶ原を連れて訪れたのは、今にも崩れそうな学習中跡の廃墟、そこに住まうアロハ姿のおっさん忍野メメの元だった。。。


【感想】
主人公の阿良々木暦と、彼と出会った少女達が織りなす「怪異」に関する物語です。

化物語を見ていた当時は、「シャフト演出」と呼ばれる画期的な映像表現ばかりに目が入っていたけれど、いま見直してみるとそのストーリーのほうに目がいきます。

この物語が目指す場所というか、対峙するのは、思春期にぶつかる課題(悩み、葛藤)に対する向き合い方なんですね。

それは例えば
戦場ヶ原ひたぎの場合だと、母親が悪徳宗教にハマって家庭崩壊した一家の娘である彼女が母親に関する記憶を、思いを全て消し去ろうとした物語であり
神原駿河の場合だと、意中の人を他の男に取られ嫉妬に狂った挙句暴走する物語であり
羽川翼の場合だと、自分にとって不都合な現実を、感情を、すべて隅に追いやって忘れようとした物語でもあります。

で、何らかの不和、葛藤、悩みを持つ彼女らは怪異に取り憑かれて、専門家である忍野メメの元を訪れるのですけど、彼の口癖である、「怪異に惹かれるにはそれ相応の理由がある」というセリフがまた唸らされるといいますか。

つまり、怪異とは悩みを、葛藤を、不和を可視化するギミックでもあり、彼女らは否が応でもそれと向き合う必要に迫られるということです。
悩みを具現化して怪異として登場させるのは、ただ現実世界において抱えた悩みを解決するために行動に打って出るのとは違う趣があります。
これが物語の醍醐味の一つですね。

そして忘れてはならないのが、これも忍野メメの口癖である「被害者面が気に食わない。」です。
こと化物語においては、怪異に憑かれる彼女達には、怪異には憑かれるだけの必然的な理由があり、それはつまるところ、被害者というだけではなく、加害者としての一面も少なからず存在しているということを示しています。
物語シリーズにおいては、被害加害両面をあますことなく描いており、そこが作品の魅力に大きく貢献しているといってもいいでしょう。
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