こたつむり

機動戦士ガンダム 第08MS小隊のこたつむりのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム 第08MS小隊(1996年製作のアニメ)
3.5
戦場のリアリティを追求した『ガンダム』。
…と耳にして舌なめずりをして臨んだのですが…男女の出逢いから始まる物語にガックリ。生きるか死ぬかの瀬戸際に恋愛を絡めるのが理解できません。

それに、主人公の甘ちゃんっぷりに鳥肌。
リアリティを追求する=漫画的な描写は排除する…だと考えているので、小隊長が現実を受け止めなかったら行き着く先は悲劇。それがリアリティじゃないでしょうか。

つまり、理想を唱えるには相当の実力が必要。
しかも、それはパイロット的な技能ではありません。求められるのは戦局を見渡すことが出来る視点。正直なところ、彼を小隊長に据えたのは間違いだったと思います(平時ならば良い上司でしょう)。

ただ、物語や主人公は微妙でも。
戦闘描写は見事だし、何よりもモビルスーツが格好良いのは事実。舞台が一年戦争だから、飛ばしすぎな機体(製作者の妄想が結実したような)が無いのも嬉しい限り。

あ、アプサラスは別です。
…が、まあ、この程度ならば仕方がないでしょう(←何故に上から目線)。『0083』のデンドロビウムに比べたらカワイイものです。

あと、ガンダム周りの矛盾も仕方ないですね。
この辺りは商業的な側面と擦り合わせるのが難しいのでしょう。数少ない陸戦型ジムという設定のほうがリアリティは増しますが、それだとジオンに勝てるわけがないですから。

何しろ、グフカスタムが圧倒的な存在感。
良いですねえ。こういう選択ができるのが外伝の強み。この青い機体はクセが強いから運用が難しいのですが、本作のような展開にはピッタリ。製作者の慧眼を褒め称えたい限りです。

操縦者の気概も最高でしたね。
この武骨で愚直な姿勢こそが格好良いのです。彼が主人公だったら良かったのに…。

まあ、そんなわけで。
ガンダム版『ロミオとジュリエット』と割り切って楽しむが吉の作品。戦場描写はあくまでもオマケだと捉えていないと…間違った入り口に誘導されるので注意が必要です。
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