滝和也

聖戦士ダンバインの滝和也のレビュー・感想・評価

聖戦士ダンバイン(1983年製作のアニメ)
4.0
バイストンウェルの物語
を覚えている者は幸せである。
心豊かであろうから・・・
私達はその記憶をしるされて
この地上に生まれてきたにも 
かかわらず思い出す事の
出来ないサガ
を持たされたから・・・
それゆえにミ・フェラリオの
語る次の物語りを伝えよう・・・

「聖戦士ダンバイン」

異世界転生モノの祖にして、ファンタジーアニメの祖。ファンタジーの世界にサンライズお得意のリアルロボット路線を複合した40年を経て今尚人気の作品ですね。お若い方でもスパロボで使った方もいらっしゃるでしょう。ファンタジー世界である点は御大富野監督もナウシカを意識したと語っていらっしゃいますか…中身は正調富野節という人のエゴ満載の作品。湖川友謙さんのキャラデザが同じのイデオンに近い作品でしょう。

富野監督作品の根っこである人の革新はガンダムにおいては、まだ希望がある様に描かれてますが…決してそこに至る幸せは実は存在しません。人は人の業、エゴを乗り越えられません。故にガンダムは今もやってるんです。方やイデオン、ダンバインは…そのエゴを露骨に語る作品であり、故にあのエンドしかありえない訳です…。

バイストン・ウェルと言う世界は魂の安息所として描かれ、その中世世界レベルの文化に召喚された地上人ショット・ウェポンがロボット工学を持ち込み、オーラ力で動くオーラマシンをアの国の豪族ドレイクの元で開発します。ドレイクは更に地上人を召喚、聖戦士としてオーラバトラーに乗せるのですが…ドレイクの野心を見切り、召喚された主人公ショウは対立したギブン家に乗機ダンバインごと加勢。ミの国、アの国、ラウの国と巻き込みながら戦乱は広がります。

ここまでが前半部。実はファンタジー世界と融合していて、ドレイクの国盗りに対して戦うのは実はここまで。中世の城塞とオーラバトラー他オーラマシンの対比、国を護る為に戦う騎士感があり、中々たのしいのですが…当時、地味かつストーリーが大河みたいで硬い異世界ファンタジーが受けなかった故に大幅な路線変更がでます。

後半はバイストン・ウェルを管理するエ・フェラリオの長ジャコヴァ・アオンの力ですべてのオーラマシンが地上へと放り出され、そこで戦う羽目になります。確かにこの段階で超弩級オーラシップが4隻いましたし、ドレイクのアの国、ビショットのクの国対エレ女王のラウの国、シーラ女王のナの国という形ができていたのでわかりやすいのですが…まぁこっから毎週同じ様な小競り合いの繰り返しが続くスタイルになり…私はイマイチだったかと…。

前半部の大胆な新たな世界観を楽しんでましたし、オーラマシン、オーラバトラーの大胆なデザインも大好きでしたからね。虫と騎士的な融合という形は今でも斬新で出渕裕さんの凄さを感じますよね。後半においての地上の既成国家との関係がうまくなく、また演出で核兵器を使いまくるアイデアのなさが駄目だめな点代表かと思います。オーラバリアが何でもありすぎでリアルでなくなってましたし…。

後全体としてダンバインの問題点は…味方が勝つシーンが戦略的にも戦術的にもほほないことなんです。ドレイク達に実は負けっぱなしでラスト数話で地上のF14トム・キャットの特攻戦術で漸く勝つ話が出てくる有り様なんです。ショウは確かに勝ってます。それは騎士同士の一対一のレベル。戦術的には前半部はショウたちは負け戦で撤退しながら戦っていて…漸くナの国国境近くで五分に持ち込める状況になり、こっからという所で地上へ放り出されてる(笑)あとは小競り合いで勝ち負けすら見えないか、作戦失敗の連続で…。何故最後あの形になったかわからないレベルなんです。これは前半部と後半で路線変更してしまったことと、常に大敵の大群に立ち向かうカタルシスに注力しすぎたことが原因ですね。また演出で味方のオーラバトラー、ボゾンとボチューンがやられるシーンがジム並に多すぎなんですね。敵のドラムロとボゾンが同じでボチューンはその上レベルなんですけどね…。

更に演出面でガンダムほどライバルが整理して出てこないんです。一回出ては消え、また出てくる、その際オーラバトラーが変わってたりする故に、ライバルの意義がなくなるんです。ライバルになりそうな奴も数がい過ぎだったかなと。ガンダムの黒い三連星の出てきて戦う話は2話しかないのに印象深い…その差は歴然。トッドはまだビアレスのイメージですが肝心なラストのハイパー化はライネックでした。バーンはやたら多いですが、黒騎士のズワースは2回目で大破し、2台目も一発大破でブブリィにものってますし、ガラバがラスト。中々難しいですよ。ズワースで良かったかなと思います。

今見ると気付く点は多くありますが…中学生だった私は明らかにメカフェチでしたから、オーラバトラーのかっこよさだけに注目してたのは事実です。但しバンダイのプラモの不格好さには呆れてました…。ザブングルが良かっただけに衝撃でしたが…。まぁ技術レベルの仕方無さはありました。その後のハイグレードモデルは手に取ってないのでいつか作れればとは思ってます(^o^)
滝和也

滝和也