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笑ゥせぇるすまんのblacknessfallのレビュー・感想・評価

笑ゥせぇるすまん(1989年製作のアニメ)
3.9
Netflixにリマスター版が配信されてたからノスタルジックな気分になって観たよ。

観るとノスタルジックな気持ちは打ち砕かれた。アニメの現実の方が現在のリアルの日本より遥かに豊でさ。
これが放映されてた時はバブルの絶頂期でその時の現在なんで喪黒福造に心がスキマを見透かされ心のスキマをお埋めされてえらいことになる人達が確かになんならかの不全感に苛まれ懊悩としてるんだけど、満たされないのは心だけで物理的な生活苦の人がほとんどいないんだよ。

マイホームに居場所のない50がらみのごく普通のサラリーマンは家に帰るのいやで色んなところで無為の時間を過ごして砂を噛む思いしてんだけど、マイホームは瀟洒な2階建ての高級住宅だし、毎日会社を定時に上がれてんだよ。今はこんな設定幻想だよな。まずこんなちゃんとした家買えないし、その上残業続きで定時で帰りたくても帰れないサラリーマンの方が圧倒的に多いしな。
彼女との結婚資金を貯めるために節約して毎晩400円の牛丼食べてる青年は喪黒福造に「今時、若者でももっとマシな外食できますでしょうに」と訝しがられる。
現在の若者の大半は貯金どころか食うだけでやっとで節約で牛丼なんじゃなくてそれぐらいしか食えないから牛丼なわけじゃん。

彼等は豊かで満たされてる設定じゃなくて平凡などこにでも居る庶民として描かれてる。
この二人に限らず登場人物達の経済状態は恵まれていて今のリアリティーからあまりにもかけ離れている。
豊かさと繁栄は享受できていても実はそれはまやかしの豊かさでみんな心の奥底に鬱屈した想いを抱えているという藤子不二雄Ⓐ先生の時代と人への眼差しの慧眼さに関心するよりも、現代の我々の貧しさを浮き彫りにされた衝撃の方が上回った、、笑

現代では喪黒福造の誘惑に魅せられる人はほとんどいないだろう。嘗て確かに存在したまやかしの豊かさすら完全に消失し、もはや心のスキマになぞかまけてる余裕はない。それぐらい我々は貧しくなり疲弊している。
そして、そんな社会にした戦犯とも言える勢力が次の選挙でも勝つ。
一体どこまで凋落するんでしょうねぇ~ホーッホッホッホッホッ💋💋💋
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