三畳

オッドタクシーの三畳のレビュー・感想・評価

オッドタクシー(2021年製作のアニメ)
4.8
噂に違わず大傑作でした!シニカルな会話劇だけでも普通に面白いのに、次々と伏線が挿し込まれて1話の密度がすごい!一体どこに連れていかれるのか全くわからないタクシーに乗せられたよう!

ミステリ小説ではある手法かもしれないけどまさかアニメで、この世界観で実現させた展開(多分今後誰にも真似できない唯一無二性)でしか表現できない感動がこもっている!

それに加えてYouTubeでのサイドストーリーやTwitterでのアカウント実在なんかも大好きなやつじゃん。
リアルタイムでみんなでゾワゾワしながら追いたかったなー。
でも他人の考察を入れずに謎がホットなまま押し流されるように一気見するのも楽しい作品だった!だから最終話はマジびっくりできた!ちょいちょいネタバレ踏んじゃったけど本当に大事なところは踏んでなくてよかったー!!!

声優さんがどのキャラクターも良かった。だから親しみをもてたし全部の軸がそれぞれ気になった。ヤノのビートも聞きにくいけど声がかわいいんだよ。

お笑いコンビのやる気ない方が先に売れてく切なさとかね!
バズに取り憑かれた大学生はYouTuberやオンラインサロンの胡散臭さをしっかり揶揄していて、そういうバカが話をひっかきまわしたり…でも謝罪の時の声がよかった。
Tinderパパ活とかこんなズートピアでやらせちゃうの?!みたいな時代反映。

特に田中革命、えげつない。暇な人、ぜひ第4話だけでも見てみてほしい。いきなりモブキャラがノンストップで30分一人語り。普通の子どもが常軌を逸するまでの過程を丁寧に行きつ戻りつ細かな共感を交えながら理解させてくれる。

私の子どものころはシール交換だった。
キラキラぷっくりしたかわいいシールを持ってるのは女子のステータス。せいぜい150円~300円とかなんだけど、私の親はそういう刹那的な無駄金を使ってくれないタイプだったから、私は銀行でもらえる企業ゆるキャラのシールとか、お菓子の粗品や、付録のシールをちびちび集めていた。

優しい同級生がそんな無価値シールと仕方なく交換してくれるのは、その子らのシール帳のなかで一番いらない不人気キャラのシールで、必然的に私のシール帳は不良債権の吹き溜まりであった。

大人になってAmazon見てたら、あの頃あんなに憧れたシールが1000円で100シートも入ってて、今ならたった1000円であの頃の私を大富豪にしてあげられるのに…!
そしたら数年間にわたりどんなシールとも交換してもらえて、どんなに充実した放課後になっただろうと思った。
でも今100枚も手に入れたところで交換してくれる友達なんていない。
それでも買っちゃうかもしれない、個人的な癒しのために。

だから田中革命の子ども時代の経験と心理はとてもよくわかった。そこに課金厨という素質が絡むと病気になってしまうんだな。
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