レインウォッチャー

ラブライブ!スーパースター!!のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

3.5
ラブライブアニメの本腰はキャラデザ・声優育成・そして楽曲とライブシーンで各プロダクトへの購入導線を作ること、お話と演出は三の次。
という伝統をしっかり守っている。

それでも今回4話くらいまでは珍しく整合性が取れていて、期待してみたりもしたのだ。先輩シリーズの基本体制だった9人から5人へメインキャラを絞ったことで、人物像の掘り下げにかかる期待。
でも案の定スタミナ切れで、キャストや楽曲のパワーに甘えた、表面上の「エモい〜」頼りの行き当たりばったりになってしまった。知ってた知ってた。

結局、脚本の制作陣はあまり人の感情の機微がわからない、あるいは興味がないのだろう。まるで安いAIが作ったようなお話だなあ、とよく思う。
踏むと決まっているマイルストーンがいくつかあって(ここで誰センターの曲を入れる、誰と誰をカップリングする、このへんで何かトラブル発生、とか)その最短経路を出すとこうなります、みたいな感じ。その様は、乗り換えアプリが確かに早いけれど実行するには現実味がないルートを出してきたときとちょうどよく似ている。

誤解なきよう書いておくと、わたしはラブライブシリーズというコンテンツ自体は大好きです。キャラ・キャスト・楽曲。だからこそアニメやゲームのシナリオで起こっていることを見ると、より残念だなと思ってしまう。
毎シリーズ、上に書いた歪みのようなものを一部のキャラが引き受ける顛末が不憫でしかたない。今回は可可とすみれかな…

ただ本懐であるライブシーンはさすがというしかなく、年々進化が目覚ましい。
遠景はCG主体でダイナミックに動かして、接写のとびきり美しい手描きでハートを直刺しする。この伝統芸能は健在、かつどんどんその境目が近づいていて見事だ。
今回の白眉はまさかのスウィング調で驚いた10話「ノンフィクション!!」、推しを決めかねてたわたしを一発で平安名すみれに転げ込ませるに十分なギャラクシーさだった。

いや、わかるよこの即効性。そりゃあつい、ファンはエモいとかありがとうラブライブ、とかつぶやいちゃうよね。もしかしてDVと同じ仕組み…?

二期もきっと追うけれど、もうちょっと脚本にもお金をかけて、誰かそろそろ救ってあげてほしい…とは切に願っている。