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ぼっち・ざ・ろっく!のSQURのレビュー・感想・評価

ぼっち・ざ・ろっく!(2022年製作のアニメ)
4.0
原作の再構成がとても上手く、理想的なアニメ化。
原作には毒っけが強く思わず退いてしまうようなギャグや台詞回しもあるのだけど、その辺もうまくマイルドに、より素直に感情移入できるように調整している。
とは言っても主人公・後藤ひとりの社会不適合者っぷりはかなりしっかりと描かれている。きらら系の社会不適合者ヒロインは可愛げのあるように描写されることも多い気がするけれど、後藤ひとりは悲しいかなホンモノだ。
また、ひとりの陰に隠れがちだけれど、山田リョウの社会不適合者っぷりは密かに凄まじい。特に理由がないまま遊びの誘いを蹴るために身内の不幸を使ったり、バンドメンバーにお金を借りまくったりと、おおよそ一般的な人であれば友達としてはやっていきたくないなと思うだろう。なんかその辺に感じたくないシンパシーを感じてしまう。
しかしそんな社会不適合者を抱えながらも一緒の夢を目指して上手く友情を築いていけるというのは、なんかとても良い話なんじゃないだろうか。

話が動き始める5,6話以降が面白い。
特に8話はまさしく「神回」だろう。このエピソードだけ5回見てしまったけど、見るたびに泣いてしまう。
いくつかの過去のエピソードや描写を踏まえつつ、台詞だけではなく映像としても雄弁に彼女たちの成長を描き出す。そういった「言葉以外の部分で語る」という側面を見ると、このアニメの方がよっぽど”映画的”なんじゃないかと思う……というのは余計な話かも。

原作は2巻,3巻とどんどん物語性が増し、面白くなっていく。
アニメも好評だったようなので2期もあるだろう。楽しみだ。
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