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ぼっち・ざ・ろっく!のNowLoadingのレビュー・感想・評価

ぼっち・ざ・ろっく!(2022年製作のアニメ)
4.4
 普段コチラのアカウントはもっぱら映画作品に限ってレビューしているが、今回は特選という形で少しばかり話をしたいと思う。

 初めてアジカンの作品に触れたのは確か「ワールドワールドワールド」であったはず。お目当ては「或る街の群青」であったがこのアルバムの中には「アフターダーク」や本作のテーマを内包した「転がる岩、君に朝が降る」などがある。だからラストソングの「転がる岩」を聴くと個人的にやられたなと感じてしまう。

 ガールズバンドアニメはもっぱら「けいおん!」で育った世代なので、それのみならずきららアニメと言えば「ゆるキャン△」の登場までは「けいおん!」が原点にして頂点であった。それがこの数年でこうも入れ替わるとは、きららにも戦国の世は来るということなのかもしれない。

 さて、正直僕はけいおんよりもいたく本作を気に入っている。それは完璧なる美少女であった放課後ティータイムのメンバー(+憂)に比較して結束バンドの面子はとにかくどこかしらで人間臭が半端ないのだ。

 虹夏と郁代はともかくリョウとぼっちの生きている臭いが堪らない。方や金にルーズで行き当たりばったりの生き方、方やひたすら内面世界に入り込んで自分の存在価値を問い続けた生き方。これらの普通のアニメならざるかわいさの中の危うさが醸し出す本作にしかないスメルが漂うこの雑多感。その悪臭に似た香りを脱臭するギャグとドラムとボーカル。バランスが絶妙だ。

 そしてそれを彩る00年代に生きた人間が奏でる懐かしさがある楽曲たち。これらが集結して出来上がった本作はあの時代に生きた自分にぶっ刺さっていて離れない。

 2期があるかはわからないが、個人的にはこれがやれることの全てなのではないかとすら思う出来栄えだしこの続きを望む自分とそうじゃない自分が共生している不思議な感覚だ。この感覚こそがぼざろにしかない特別感を呼び起こすポイントになっているのではないだろうか。
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