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デート・ア・ライブIIIの都部のレビュー・感想・評価

デート・ア・ライブIII(2019年製作のアニメ)
3.3
等身大の自分から逃避する七罪と物語冒頭から登場していた鳶一折紙、概ね前半後半とその二人の精霊による事変を描いたシーズンで、物語の緩急や要素の散りばめ方は安定しているものの高品質とはいえない作画の崩壊は鑑賞体験のノイズとして決して小さくない影響を及ぼしている。

七罪──蠱惑的な姿での邂逅から、シームレスに面々の内の一人に成り代わった彼女を言い当てるというミステリ的な展開へと傾倒する展開はそれなりに面白く、それまでの精霊に存在していなかったネガティブな思考の彼女の対応にこれまでの話で培ってきた士道を取り巻く環境の暖かみに触れる構成はなんやかんやスッキリしている。結末部分は悪い意味で形式的なピンチとそれを乗り越える為の封印で、また次なる折紙の繋ぎに位置する幕切れだったのも考え物である。

鳶一折紙──忌まわしき過去を改変する為の時間旅行という筋書きは普遍的な面白さに溢れているが、しかし作品としてのトロは改変後の世界で交わされるラブコメディで、性格が反転した折紙との一幕は微笑ましく映る。ヒロイン単体のエピソードとしても印象的で、そのウェイトの重さも相俟って良いエピソードではあるが他ヒロインの扱いの雑さのようなものはやはり加速度的に上がっていて、まとまりはあるがカタルシスに欠ける点は大きい。

全体的には前期前前期と同等のクオリティの安定したエピソードではあるが、それだけに作画の水準の低下が作品評価に大きく作用する要因となっていて、ビジュアル面で一貫してヒロインを魅力的に描くという点を果たせてない部分があったのは否めない。
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