もやし

東京マグニチュード8.0のもやしのレビュー・感想・評価

東京マグニチュード8.0(2009年製作のアニメ)
5.0
思いがけず名作に出会った。何度も泣いてしまった。



もし現代で関東大震災が起きたら、という想定を綿密なリサーチを元に表現したフィクション。

主人公の中1の女の子は典型的なゆとり世代というかさとり世代というか。
家庭はどこにでもあるちょっとギスギスした家庭で、主人公は家庭やら大人やら自分やら将来やらこの世界やら、何もかもに不満を抱いている。
「ああいっそのこと、こんな世界滅びてしまえばいいのに」の一言の直後に地震にみまわれる。

小3の弟と一緒での外出先での地震だったので、そこに居合わせたとても親切なシングルマザーのマリさんと一緒に、家の方向が同じだったので3人で家を目指す展開。

この弟がさあ! 可愛いんだよ!笑
純粋で優しくてさあ。
火垂るの墓の節子的可愛さ。

マリさんも本当に良心のある大人って感じで、良いキャラだ。



何もかもにひねくれたものの見方しかできない主人公が、極限状態にみまわれて真っ当な精神が育っていく展開は感動的。

この作品は良くも悪くも人間の深いところが剥き出しになるんだよね。隠す余裕がどこにもなくなる。

人間の本質的な醜さを描く一方で、逆にたまに見える人間の本当の良心にハッとする。


本作の圧倒的精神的支柱であるマリさんも家族のことがあるから崩れることもあって、子供も大人も関係なく、支え合うことが一番重要だと教えてくれる。




テーマ的には冗長になってしまいそうなものだけど、色んな人との関わりがあって集中して見られる。逆に入り込みすぎちゃうので一気見は推奨しない。


俺みたいな平和ボケしたモラトリアム糞野郎にオススメ。一撃かましてくれます。
もやし

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