◆ 輻輳!咲く花!散る花!
少年よ、悪女が見る夢を塗り潰せ!
舞台は宇宙世紀0153。
アムロとシャアの最後の戦いから数えて60年後。だから、地球連邦が腐っていたり、量産機にジムの面影があったり…と薄っすらとした繋がりしかありません。物語としては完全に独立しています。
これは新規の視聴者を取り込みたい戦略。
ファンからすると続編は嬉しい話ですが、敷居が高くなるのも事実。これまでの歴史をリセットする方策は間違っていないと思います。
しかし、この頃の冨野監督は鬼神でした。
病んでいたのか、それとも狙っていたのか。
どちらにしろ『ガンダム』というコンテンツをぶっ壊したかったようで、色々と衝撃的な演出(鮮血が飛び散るのは当然。ギロチンで首を切ったり、精神が錯乱したり、人命軽視も甚だしい)が多いのです。
そして、何よりも“あの方”の変遷。
ネタバレを避けるのがポリシーなので詳しくは書きませんが、人間不信に陥る展開があるのです。アニメやゲームで「悪人」と呼ばれるキャラクターは色々といますが“あの方”は確実に十本の指に数えられると思います。
あと、モビルスーツの扱いも豪快。
主人公機に思い入れがないのか、ガンガンと壊していきますし、敵方のモビルスーツも奇怪な形状をしたものが登場。蛇のようなドッゴーラとか、タイヤの中にモビルスーツが入っているとか。まるで子供向けのロボットアニメのよう。
だから、全体的にアンバランスなんですね。
物語は陰鬱で悶々としているのに、メカ描写は小学生向け。これを午後5時台に放映していたとは…いいぞ、もっとやれ。規制が増した90年代ですが、それでも捨てたものではありませんね。ダークな世界観は子供にも必要なのです。
そう。色々と書きましたけど僕は好きです。
過激な部分もテーマを際立たせるためには必要ですし、初代の『ガンダム』だって色々と攻めたから評価されたわけですからね。挑戦者に石を投げるのは良くない風潮だと思います。
まあ、そんなわけで。
ガンダムに興味を抱いたのならば、是非とも挑戦してもらいたい作品。勿論、トラウマになる可能性(大袈裟)もありますので、鑑賞は自己責任でお願いします。むひ。