3.11前の世界を3.11以降から見据えるために阪神淡路大震災の記憶を忘却しようとする少女が出てくる。存在しない震災を怖がるのは魔法界でも現実界でもなく、311以降の世界を恐れているから。西新宿笹塚代々木、知っているこの辺りの街が崩壊していく快楽は『天気の子』的でありながら、本当の街を壊したことによって「ちぃちゃんの嫌な記憶」は保持される。
柿谷先生の『きょうのできごと』内で3月11日の日付が別な意味を持ち続ける批評思い出した。細田直人監督作品。『禍つ』のように飄々とした雰囲気でありながらも悲しみとトラウマが伝播する。公権力に反してしまうこと自体がギャグとして何度も出てくる窮屈な日本とコミュニケーション不全の公僕というのも新海誠的といえば新海誠的。
