ウシュアイア

カッコウの許嫁のウシュアイアのレビュー・感想・評価

カッコウの許嫁(2022年製作のアニメ)
3.7
赤子の取り違いにより庶民の家庭で育った凪と大富豪の家庭で育ったエリカがそれぞれの本当がお互いの実子と養子との縁が切れることを避けたいそれぞれ親の思惑により、二人は許嫁にさせられ、同じ家で暮らすことになり、さらに凪の妹(エリカの実妹)と凪が想いを寄せるひろを巻き込んだ荒唐無稽のラブコメディ。


構図的には『五等分の花嫁』(原作未読、未視聴)と同様の少年漫画誌掲載のハーレムラブコメディだが、女性作者ということもあって『白鳥麗子でございます』のようなコメディの起承転結、『ママレードボーイ』のような荒唐無稽やドロドロと紙一重の設定が少女漫画的。

男性(男の子)には、ちょっとおバカだけどめっちゃ性格のいいお嬢様、ツンデレな血のつながらない妹、小悪魔的な才女の3人のうち誰を選ぶ?的な投げかけをしているだけでなく、女性原作者ならではの視点で、凪とヒロインたちとのやり取りを通じて、男の子のどういう行動が女の子の心を動かすのかということを啓蒙する要素も見え隠れする。

そして、原作者が女性ということで主人公の凪には少なからず作者の理想とする男性像が盛り込まれている。凪は一見陰キャでモテる要素は少ないが、家族思い、女性思い、基本一途、向上心をもった努力家で、家事が得意、ということで理想の結婚相手のようなキャラ設定になっている。原作が少年漫画誌掲載ということで、男の子に対して、凪のような男になれ、というメッセージを発しているのかも知れない。作者は凪を弄びながら、女子に対して、本当は選ぶなら凪のような男がいいよ、と伝えたいのかも知れないが、残念ながら凪のような相手役は少女漫画誌上では人気が出ないんだろう。むしろ凪のキャラクターを見るにつけ、原作者が女性とは思えないほど男心を理解しており、少女漫画の主人公の相手役にしては男としてのリアリティがあり過ぎるため、少年漫画誌上で理想の男性を描いたんだろう。

原作者が女性で、凪には少なからず原作者の理想の男性像が盛り込まれている、ということに気づくとこの作品の見方はだいぶ変わってくるんじゃないかと思う。

声優の演技は全体的にハイレベル。石川界人さんのオバーなリアクションをとり気味の主人公の絶叫は本当にうまい。ヒロイン三人もハマっている。極めつけは凪の両親の木村良平さんと日笠陽子さん。すごい貫禄。

吉岡聖恵の第1期のOPはつかみとして申し分なし。
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