こたつむり

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けないのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.5
いわゆる『ジョジョの奇妙な冒険』第四部。
このエピソードは原作としても転換点なんですよね。主人公は直系じゃないし、宿敵ディオとの因縁も薄いし、序盤は目的が明確ではないし、そもそも連載当時には副題がなかったのです。

これは地味に大きい話ですよ。
原作が文庫化された際に『ダイヤモンドは砕けない』が公式となりましたが、その余波で他のエピソードも変わりましたからね。原理主義者としては微妙なところです(荒木先生はこれが本来の形だと仰りましたが…本当かなあ?)。

ただ、本作で最も異色なのはその構造。
これまでは少年漫画らしく“力VS力”が根底にあったのですが、本作からはその軛から離れます。

なので、物語の流れも直線ではなく螺旋状。
口悪く言えば「迷走している」のですが、その結果、『ジョジョ』を孤高の存在に押し上げたのですから、何が作品において幸いするのか…誰にも分かりませんね。

だから、アニメ化は難しかったと思います。
原作では絵柄が途中で変わりますが(鼻の形に注目してもらえれば一目瞭然です)前期に合わせるのか、後期に合わせるのか…それだけでも大いに悩んだのでしょうが…それでも、擁護できない部分がありした。

特にアニメは作画が重要。
例えば“決め”の画。原作に忠実なんですが、ところどころでデッサンが崩壊しているのは“マンガならばいざ知らず”アニメでは微妙に感じました。キラークイーンの薄っぺらさは涙なくして観ることが出来ません(最も気合が入っていたのが梨央ちゃんのパン××…というのは重要なポイント)。

また、途中で挿入されるポップなテイストも微妙。最たるものが杜王町レイディオ。あのオープニングを聴くたびに爪が伸びそうな気持ちになりました。前のエピソードがリスペクトに溢れていましたからね。そのギャップが大きいとは思うんですけど。

勿論、良い部分だってありますよ。
例えば、空が黄色いこと。これは原作のカラーイラストを意識した色使いですよね。原作を知らない向きからすると、この時点で『奇妙な冒険』としてインパクトが大きいと思います。

また、第31話以降に顕著ですが、各話の再構成が神懸っているのは…さすが小林靖子さん。最終回に向けての盛り上がりは圧巻です。地味にアニメオリジナルの描写があるのも良いですね。

まあ、そんなわけで。
第3部と同じクオリティを期待すると肩が下がるものの、原作の面白さは忠実に再現した作品。許容範囲を広げれば“神アニメ”になるポテンシャルはあります。
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