こたつむり

ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.5
異端の第五部『黄金の遺産』。
正直なところ、連載当時から微妙だと思っていました。主人公であるジョルノが“あの方”の息子である必然性が描かれませんからね。名前に「ジョ」が付けば良いのか、なんて毒づいたこともありました。

しかし、単行本で読み返すと。
1話完結では見えてこない緩急が伝わり、善悪を超えたヒーローを描いた物語であることが表層だけではなく、深部までジワリと伝わってきたのです。そう。この頃から週刊連載向きではなくなっていたんですね。

また、これは憶測に過ぎませんが。
当時の荒木先生は『ジョジョ』の軛から脱却したかったのかもしれません。第六部の連載告知の際には『ジョジョ』であることは伏せられていましたし、第七部では完全に除外されて始まりましたからね。

しかし「何を描いてもジョジョになる」
そんなご自身の発言を呑み込んだ結果が第八部『ジョジョリオン』なのかな…なんて妄想は尽きないわけですが…取り敢えず、本作の話に戻します。

原作準拠という観点で言えば、前のエピソードとは段違い。やはり、絵柄は重要ですね。特に『ジョジョ』の場合、線の量と質が肝要。その辺りのバランスが良かったと思います。

また、オリジナル描写も物語を補完する立ち位置なので、その配慮に“製作者の熱意”を感じることができました。そりゃあ、面白くなるはずです。

あと“台詞に台詞を重ねた”演出。
これによって、時間短縮しながら世界観の確立させる…という難題をクリアしているんですよね。これは地味ながらも見事だと思いました。

まあ、そんなわけで。
ジョースター家の物語…という意味合いは薄れていますが、その血統が紡いだものがイタリアの地で花開いたと考えれば良い物語。「ジョルノが冷静沈着過ぎて胡散臭い」と仰る向きもありますが、それがいいんです。その位置がいいんです。

最後に余談として。
『ジョジョの奇妙な冒険』は途中からAmazonプライムで鑑賞しているのですが、このシーズンから変な修正が無くなりました。やはり、修正なんて無い方が良いですね。修正なんて無駄無駄無駄無駄なんです。無駄ァッ!

 
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