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じゃりン子チエのkissenger800のレビュー・感想・評価

じゃりン子チエ(1981年製作のアニメ)
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NHKが本作固有名詞を真ん中に据えたウェブページを突然上げ、そこに集まるネットコメントが概して好評なことに気を良くした勢いで何か書いておく回。

- Filmarksクレジットに高畑勲のタの字も無いのはさすがにいかがなものか。日本アニメーション界の牽引役が宮崎駿に移るのは『風の谷のナウシカ』(1984)以降で、この時期はまだ高畑>宮崎って力関係だったのよ。ちなみに本作最初はパヤオがオファーされていて紆余曲折あったんですが現実の世界線を断然支持

- NHKウェブ、“私も5年ほど前に「じゃりン子チエ」に出会った27歳。同い年の友人から勧められ、動画配信サービスでアニメを見たのがきっかけでハマりました。当時、就職活動中で、心が折れそうな日々を過ごしていましたが、チエちゃんに励まされ”ってオープニングで俺たちに心理的ダメージを与え、エンディングの中山千夏・西川のりお・はるき悦巳近況で年寄りを励ますって構成はよく出来てる

- みんなが触れないことこそ言いたくなるマンとしては、作品世界がていねいに取り除いた「国籍」あるいは「部落」概念について、これを機会にちょっとは考えてくれ。という思い。たとえば主人公一家のお母さんが誰の目に見ても陰を背負っていて、それは本人以外ほぼ誰も気にしていない点。主人公の無二の親友の描かれ方。大阪市頓馬区西萩の町並みの猥雑さの由来(あの辺の質屋の息子が同級生だったので懐かしさしかない)。
……いわゆる考察厨の論立てに辟易するのはみなさん同様ですが、登場人物全員「そんなのとは関係ない」って言い張るのもあきらかに無理がある。

なんにせよ、いまの時代に同じワールドを再現しようとすれば肩に力を入れざるを得ないと思うんです。
「隠す」主旨で取り除いたというより、モデルにした現実社会がボーダレスだから、いろんな要素が「溶け込んだ」物語になっている。そうして奇跡のように成立した珠玉作が愛され続けているニュースにたいそう心が安らぐのは、中高の学校帰り通天閣のほうへ坂を下る、みたいなアイデンティティー有るからで、つまり身内自慢に近いんだけど。
でもね、人類皆平等。って政商がかつてテレビで連呼していた嘘くさいフレーズを体感できるエリアなんでね。そら自慢したくもなるで。
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