劇場版うさラビ

四畳半神話大系の劇場版うさラビのネタバレレビュー・内容・結末

四畳半神話大系(2010年製作のアニメ)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

 薔薇色で充実した大学生活を夢見ながら、灰色で無機質な日々を送っている「私」。重なり重なるパラレルワールドの中で数多のサークルに所属し、青春を掴み取ろうとする彼だったが思い通りに行かないことばかり。いつだって手を伸ばせばチャンスは掴めるとも知らずに。

 湯浅政明監督の個性的な作風に抵抗感を持つ人も少なからずいるだろうが、ストーリーは至ってシンプル。どこかミステリアスでどこか不気味な雰囲気も癖になる。プライドの高い主人公が、全11話という遠いにも程がある遠回りの末で遂に掴み取ったチャンスは、明石さんにもちぐまを手渡すというたったそれだけのこと。主人公の長旅を見届けてその瞬間が訪れたときの気持ち良さは、サウナで整う感覚に近いかもしれない。サウナで整ったことないけど。