kkkのk太郎

機動警察パトレイバー NEW OVAのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

機動警察パトレイバー NEW OVA(1990年製作のアニメ)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

『機動警察パトレイバー』シリーズのOVA第2弾。独立した作品ではなく、TVシリーズ(1989〜1990,全47話)の直接の続編。

『パトレイバー』シリーズには一応本筋と言えるものがあり、それは多国籍企業シャフトの傘の下で暗躍する男、内海との戦い。
しかしこの内海との戦い、TVシリーズでは中途半端に終わっている。
それは元々52話だった筈の話数が、諸々の事情により47話に短縮されてしまったから。
そこで、はみ出してしまった内海課長&彼が作り出した「グリフォン」という黒いレイバーとの最終決戦に、1話完結のお話を12話分くっつけてOVAにしたものが本作。

「OVAで真のエンディングが観れるって、商売としてどうなのよ💢」という声が上がってきてもおかしくない構成ですが、割と仕方がない事情があったんですね。

本シリーズでグリフォン編にケリがつくわけですが、実は『パト』ファンってグリフォンに興味ないんです。
勿論グリフォン編が好きな人もいるでしょうが、それよりも特車二課のメンバーがわちゃわちゃしている日常回の方が好きっていう人が圧倒的に多い気がする。臆面のない言い方をすれば、キャラ萌えの作品なんですよね。

そしてそれは製作陣も一緒なんじゃないだろうか。ぶっちゃけ、作り手側もグリフォン編はどうでも良いと思っていると思う。
だって、全16話のうち最初の4話でグリフォン編終わっちゃうんだもん。普通はラストバトルを最後に持って来ますよね。
そうじゃないってことは、やはり製作陣もロボット同士の戦いよりも、組織内の人間関係を描く方を大切に思っていたんだろう。
なんてったって、グリフォン編以外はほとんどレイバー関係ないからね、このOVA。そんなロボットアニメある!?

んで、このOVA。1話完結エピソードのクオリティが凄まじい。
制約の多いテレビでは出来なかったのであろう、濃厚な回が満載。
特に女の戦いが繰り広げられる打ち上げ回の9話、成熟しきった男と女が心理戦を繰り広げる12話、幻想的な美しさが光る14話、完璧な最終回の16話、この4つのエピソードが最高すぎる✨
この計4話を観れば、どんな人間だって『パト』ファンになる筈。
日本アニメ史に残る傑作。こんなお話、他のアニメじゃ観られないよ!

最終回を観ると、「俺を置いていかないでくれー😭」という気持ちになるので、なかなか観返すことが出来ない。そんな作品。

1人1人が輝いていて、メンバーには誰一人として脇役がいない。
みんなが完璧な役回りを演じてドラマを盛り上げてくれた。
エバーグリーン!本当に色褪せない奇跡の名作。

昔は初期OVAの方が好きだったけど、今はこっちの方が好きだなぁ。

「今だけだよ。それぞれの居場所が見つかったら、いつまでもこんな地の果てにはいたくないでしょう。」

この最終回のセリフに『パトレイバー』の全てが詰まっている。
何気ないように思える今この時は絶対に戻ってこない。振り返った時にキラキラと輝いて見える、そんな日々があるんだなぁ…。
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