銀河英雄伝説・本伝 第3期の10の情報・感想・評価

エピソード10
休暇は終わりぬ
拍手:0回
コメント1件
流之助

流之助

このコメントはネタバレを含みます

オーベルシュタインはラインハルト個人へ忠誠を捧げているわけじゃなく、ゴールデンバウム王朝をたおした新政権の覇者への忠誠を果たそうとしている。それも過不足なく、コスパ良く。そのために必要な手はすべて打っておく。切り離すべきと判断したら容赦なく切り離す。たとえそれが自分の命でも。 ロイさんはラインハルトをマインカイザーと認めつつも彼が覇者としての命脈を保つことに小さな疑問を持ち続ける。それは自分の中にある野心ゆえでもあるが、自分の成せなかったことを成し遂げた人物へのあくなき欲求の裏返しなのかも。つまり成し遂げられなかった自分への欲求がラインハルトへ向かっている、とか。 予定では5年の筈が2ヶ月と、時期を読み違えたヤン。戦いにこそ(戦術レベルだけでなく)価値を見出すという帝国側の行動理念を超えたもの。よりよい民主主義、よりよい軍のあり方、よりよい政治のあり方に思いを馳せながら、自分の平和を望む心と相反する戦争の天才性という特質の矛盾に苦しみつつ、他者に答えを求めず自ら考え続ける。 ラインハルトは少しずつ光に影がさしてゆく。早く強く燃えて燃やされて焚き付けられ仰ぎ見られ、後に続くものたちを常に意識しながら国政と軍事とを独りで(脳内キルヒアイスに虚しく話しながら)こなす日々。 そりゃあ、いろいろ考えてしまうだろうけど、それでもヤンの思考のレベルにまでは到達しえなかった。彼はそうした人ではない、というより、それをするための余裕を自ら喪失したためなのだけれど。その喪失を気にかけているのが本質的な意味でヒルダだけ(ラインハルト自身は望まなくとも)なのが寂しいよね。
いいね!1件