ミュージカル調の演出を「力みなく」大量に取り入れたアニメ。
歌声のヒーリング効果を医療に用いるというだいぶ危うい設定と挑戦的なコンセプトなのに、むしろ観ていて印象に残るのはアニメーションの柔らかさ。
キャストがというよりキャラクターがアドリブで動き回っているような、枷のない自由度が多幸感を生む。
大学でミュージカルを学び今も声優業の傍らミュージカルへの憧れを語り時に出演もする礒部花凜さんが主演を務めるこの上ないナイスキャスティングも、偶然というよりキャストの歌への憧れとバイブスを作品で自由に泳がせて、そこにアニメーションが寄り添うように弾んでいるといった印象。
大きな物語を描いてはくれないのが個人的には物足りないけれど、大きな嘘はしれっと成立している、実はすごい野心作。