三畳

Sonny Boyの三畳のレビュー・感想・評価

Sonny Boy(2021年製作のアニメ)
3.9
観終わった!あまりテレビアニメを見ない自分が語れることは多くないんだけどあくまで個人的な感覚では、
オッドタクシーが計算され尽くされた完璧デザイン脳で作られた作品だったのに対し、SonnyBoyは超アート脳で作られていたと思う。
(共通点のないこの2本をなんで並べるかって私が今年見たってだけ)

(デザイン作品・アート作品、ではないです、作られた時に使われた脳の基準)

だから疲れた。もしかして中身ない系?とも訝しがった。
普通のミステリがヒントを小出しにしてくれることのマーケ的重要性をめちゃ実感した。中盤はあまりの不親切さに、ぐんぐん評価が下がって流し見しちゃった。

どの作品にもデザイン要素アート要素は両方あるから私が思うざっくりな感覚だけど、
デザイン脳で作る作品はきちんと伝えることを最終目的にしていて、そのまま言うんじゃなくてより良い例えに一回置き換える。
伏線張るポイント等よく精査点検してるし、対称的なキャラがいたり、ネーミングやエピソードや場所すべてに意図を設定している、ってイメージ。
作曲で言うと一番と二番の言葉尻を揃えてる人←椎名林檎とか

アート脳で作る作品は理解してもらうことが最終目的ではない。
空気や感覚をなるべく生のまま共有すること、実直であることに重きを置いてる。
ネーミングに規則性がない(特に本作のキャラ名はめちゃくちゃ。希ちゃんや瑞穂ちゃん、骨折ちゃんや戦争君…)。
しばしば独善的。矛盾や意味のないモチーフが存在する自由。
作曲で言うと「君・あなた・彼」と二人称が一曲のなかでバラバラでもいい人←charaとかaikoとか

という自分なりの定義の話であって映画も絵本も演劇も「これはこっちだなあ」と思って楽しんでいる、合っているかは知らない


でSonny Boyは夏目監督が携わってきた湯浅作品の絵とか、江口寿史のイラストとか、メンツはデザイナー寄りな印象だけど、
主題歌の銀杏BOYSがぶっちぎりでアート脳なのと、マッドハウスっていうと今敏の映画くらいしか私が知らないこともあって、総合的にはアート脳作品なイメージになった。


話で区切られてはいるけどこの気安く解らせない世界観の完成度は、とても映画的だった。
制服、漂流、モラトリアム、卒業、SF、参加ミュージシャン達の名前だけ見ていって連想させる「系統」にはおさまらないぞって感じした。

考察したり紐解こうとする人も一部いるけど私はこれに関しては、辻褄とか真実はどうでもいい感じ。観た絵をそのまんま受け取れる。さっぱりわかんないけど。


撮りたい絵ありきでシーンをこしらえる作品ってよくあるような気がするけど、これはまず中身があってそれを一番その通りに表すためにあんなにも色んな舞台を飛び回り、テクスチャぐにゃんぐにゃんしたんじゃないかなって憶測だけど思う。言葉で説明しないで脳から取り出したままの絵。


銀杏、ミツメ、なつやすみバンドなどなど、きっと同じ世代の音楽を吸収した人達の、今回初めて知ったバンドも含めて全部エモくて良かった。きらきらキラキラー✨
何より最終話のギターを担当したポニスクの人12年ほど前に間接的な知り合いで、エンドロールで流れてきて今は銀杏のサポートしてることに驚いた!それも込みで個人的ノスタルジックだった。

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8/28

令和版・漂流教室?テレビサイズのパプリカ?
1話からばっちばちに強気の意欲作であることがわかる。学校の外は真っ黒に塗り潰されて、特殊能力を使うと画面がバキバキ歪んでずれていく。
OPなしで毎話映画みたいなエンドロールだから世界がリセットされる感じ。

絵のマジック、カメラの嘘で瞬間移動したり、光源も重力もないからこそできる異様な表現。このサムネからして違和感がすごい。

心象風景?抽象世界?の中に集団で閉じ込められるんだけど、説明がなさすぎてある程度は謎を謎のまま受け入れちゃうから、
「原作上下巻の長編児童文学をファンが好きなシーンだけ趣味で描いたものを見せられてる」んじゃないの?と思わされる。

設定も伏線回収もかなりきちんとしてたオッドタクシーの後だけに、だんだんストーリーには興味が薄れていき今のところ奇抜な演出だけ楽しんでいる。

いつのまにか世界を背負わされみんなから期待される救世主が無気力で自信喪失した根暗少年なのはもろにシンジくん。


野球の話する人の話興味ないと長すぎるのが一番共感できたw 脳がもうシャットアウトしちゃって右から左に抜けていくんだよねー。聞いてなかったら大事な話してたっぽい。
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