虎舞羅ーコブラー

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編の虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

4.0
原作「るろうに剣心」シリーズの“追憶編”をアニメ化したOVA作品。

・あらすじ
時は動乱の幕末。倒幕派の長州藩で、“人斬り抜刀斎”と人々に恐れられた若き剣客、緋村剣心は世の影で暗躍していた。
ある時、彼は頬に一本の傷を入れられた。その暗殺からしばらくして、剣心は雪代巴と名のる謎の女性と出会い…。

・レビュー
現在大ヒット公開中の映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」の原作という事で、母と鑑賞。

本作はこれまでのるろ剣アニメ・マンガからギャグ要素などを一切除外し、徹底して暗くシリアスに描かれているのが特徴です。
そして何と言っても、冒頭から斬殺シーンのバイオレンスさに唖然としてしまう程、この時代の人斬りの恐ろしさを提示する殺人描写は容赦なく描かれています。激しい斬殺描写は実写版も同じで、苦手な方は目を覆いたくなるかもしれません。
観ていくとかなり実写版の再現度は高いのですが、個人的に驚いたのは巴との生活中に“剣心らしい”笑顔が増える描写は、実写版オリジナルだという事。その描写があるだけで、「巴との生活がどれだけ大切なものだったのか」というのがより強く感じられる様に思います。
そして終盤の闇乃武一派との戦闘シーン。まず大きな違いは、剣心の着物の色。アニメ版では前半と同じ深い藍色の着物を着ているのですが、実写版では雪景色と同化してしまう様な美しい白の着物を着て戦っていました。
実写版の白の着物の方が傷を負って血に濡れたり、敵の鮮血が雪を赤く染める描写を一段と際立たせていたり、実写版の方がアニメよりもボロボロに追い詰められる描写は激しい為、良い改変だったのではと思いましたね。
十字傷の謎が明かされてから、巴との思い出の家を焼き払い進む姿は、見比べるとびっくり。剣心の、巴の思いを背負った凛とした表情が、実写版ではまるでそのまま剣心が出てきたかの様にそっくりそのままなのです。これには佐藤健さんの10年かけた剣心の再現力に脱帽です。やはりこの作品を見ると、“剣心を演じるのは健さんしかいない”というのを改めて感じましたね。

映画を見たあとに見比べてみるのがオススメです!