こたつむり

ホワット・イフ...?のこたつむりのレビュー・感想・評価

ホワット・イフ...?(2021年製作のアニメ)
4.0
「IF(もしも)」物は身内ネタばかり。
そんな先入観を吹き飛ばす快作でした。
ナメていてスミマセンでした。

確かにファン向けです。
トニーがアイアンマンじゃなかったら。
スティーブがキャップじゃなかったら。
ヨンドゥに攫われたのがティ・チャラだったら。
そんな「IF」は元ネタがあるから面白いのです。

でも、本作は“それ”だけに頼りません。
「IF」は起点であり、その先の“感情”を真正面から受け止め、悲哀や恐怖などヒーローらしからぬ描写も厭わないのです。この辺りの覚悟は流石だと思いました。

特に僕が心を動かされたのは。
ナターシャとホークアイの友情。
それとドクター・ストレンジの終わらない悲劇。
シリーズ本編でも描かれるように、この二つはガチでした。

また第5話の「もしも…ゾンビが出たら?」なんかは結構エグい題材。この振れ幅の大きさがマーベルの成功の秘訣なのでしょう。軸がブレないからできる話だと思います。

そんな中であえて難を言うならば。
狂言回しであるウォッチャーの造形が微妙なところ。最初のうちは威厳を感じたのに、物語が進むにつれて“ただの父っちゃん坊や”に見えてきたんです。

シーズン2も予定されているようですからね。
引き続き、彼が狂言回しをするとなると…ちょっと物語が軽くなるのは否めないと思います。

あ。軽くなると言えば。
ソーは相変わらずギャグ要員でした。
彼の立ち位置は今後も変わらないのでしょうか。映画本編の扱いも含めて、色々と雑な印象(ロキのほうが厚遇されている)が先立つので不憫なキャラクターだと思います。

まあ、そんなわけで。
ヒーロー映画を多角的に捉える挑戦的なアニメ。
フェイズ3までは鑑賞必須ですが、それらの作品を楽しんできた人ならば確実に“ご褒美”。一部の声優さんがオリジナルじゃないのは残念ですが…気にしなければスルーできるレベル。鷹揚に捉えることをオススメします。
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