ゆりな

四畳半タイムマシンブルースのゆりなのレビュー・感想・評価

四畳半タイムマシンブルース(2022年製作のアニメ)
3.7
「成就した恋ほど語るに値しないものはない」

ディズニープラスで見ちゃったけど、映画館の大きなスクリーンいっぱいに、この世界観を感じるのもよかったな。
なんと言ってもハッキリとしたラインと、色味がきれいなんだもん!

これ見る前、思うことがあってモヤモヤしていたのですが……先に「出町柳パラレルユニバース」を予習で聴いていたら、どうでもよくなりました。ありがとう、アジカン。
時間は本来なら過去には戻らなくて、前にしか進まなくて、今と未来しかない。

アジカンのすごいところって「街」が圧倒的に強いんですよね。風、道、街の景色。
大学生や若者だとか、しょっぱい気持ちを歌詞に映し出しているのに、圧倒的にスマホを眺めている時間が投影されていない。おしゃれなブランドも洋服も出てこない。

自分も友達もバイトもあったのに、寂しくひとり歩いた大学の秋の寂しい帰り道を、なんか思い出しました。
そうゆう一人の日に限ってお気に入りの服じゃなくて、気分も上がらなかったりしてさ、脱線。

改めて見ると、明石さんみたいな子、いそうでいないんだよね。もっと男性に甘い猛禽類系の女の子ならいっぱいいたけど。

大学生の頃は2人の甘酸っぱいけどハッピーエンドの関係値に憧れて。
10年以上経った今見ると、「『黒髪の乙女』こと明石さんが、もし美女じゃなかったら惹かれていないのでは?」という、森見登美彦のルッキズムにウッとなりながらも、彼女が持つ独特の天然さや、モチグマンに真剣な愛らしさとか、そうゆうとこだよな。(ってことにしておきたい。)

事件を終えたあと、打ち上げ行こう〜!と日が暮れた夕暮れの京都、めちゃくちゃいいなぁ。
ノスタルジックで切なくて、ハチクロじゃないんだけど「二度と来ないかもしれない」と思わせてくれる。

私たち大学時代ってあの花の大ヒットしかり、共通して、こういった「二度と来ないかもしれない風景」が多かった。
つらつら書いてしまったけど、今のアニメにはないので、その寂しい時代に生きれてよかった!
大人に、大学生の夏をもう一度思い出させてくれてありがとう。
ゆりな

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