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進撃の巨人 Season3の傘籤のレビュー・感想・評価

進撃の巨人 Season3(2018年製作のアニメ)
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『進撃の巨人』前半戦の山場となるシーズン3。対人戦と革命についてを描き、その後、獣の巨人、鎧の巨人、超大型巨人たちに立ち向かいます。どこまで話が進んでも「善」と「悪」という二項対立にすることはなく、敵対する勢力にも何らかの「理由」があり、世界の広さ、複雑さについてを見せていく。その先にある光景は絶望だらけではあるけれど、決して希望も見失うことはない。漫画版の物語に色が付き、声が付き、アニメーションとなることでまた違った感動がありました。なんかこいつかっこいいな、かわいくていいなと思っていても結構無慈悲に死にますし、恐怖に支配された姿もちゃんと用意されてます。そこがいいんだけどね~。
アクションシーンは対巨人戦が特に迫力と恐怖感に満ちてて楽しい。と同時に「頭脳戦」ともなっているため、土壇場になっても劇的に戦況が変化する面白さがあります。このシーズンで一番好きな話は55話の「白夜」ですかね。激闘の末、二人の重要人物の命が天秤にかけられるわけですが、どちらを蘇らせるかで、生き残ったキャラクターそれぞれの主張と主張がぶつかりあい、リヴァイに選択はゆだねられます。アクションシーン皆無であるにも関わらず対話とシチュエーションのみでここまで面白く出来てしまうのは凄すぎるわ。
っていうか改めてキャラクターといい、全体の構成といい本当によくできた物語ですねー。諫山先生はすげえや。もはや改めて語られることもないですが、ところどころで作者の猟奇的な(もっとはっきり言えばリョナ要素)趣味がむんむん出ているのもポイントで、戦いのパートでも、拷問のシーンでも「そういう」シーンが散見されます。それはある意味でこの作品が持つ「人間の残酷さ」や「戦争がいかにグロテクスな行為なのか」を語るためではあるけれど、やはり作者の性癖でもあるのは間違いない、と思う。やっぱり度を越したオタクや特殊性癖の人が作る作品って私好きだなあ。面白いのばっかなんだもん。
最終的に物語はより複雑な方へ舵を切ってシーズン3は幕を閉じるわけですが、『進撃の巨人』という作品の真価はここからだと思っているのでファイナルシーズンも見るっきゃないですねー。
ケニー「みんな何かに酔っ払ってねえとやってらんなかったんだな……」
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