ダイナ

進撃の巨人 The Final Season 完結編(後編)のダイナのレビュー・感想・評価

4.3
復讐のシーソーゲームの果て。加害をしない保証が見られず対話ができず、時限性のある蜘蛛の系(寿命)に焦燥感、力を加え続けたゴム毬の如く弾けてしまったのがクライマックス、本章。

巨人という非現実な存在を用いて描かれた現実の鏡写しのようにシビア(だけど最後はお祭り感あるエンタメ展開でもあり)な人種対立に始まる主張の食い違いと戦争への発展のストーリーテリングは恐ろしいほど惹き込まれました。対立する立場双方を描写、それこそそれぞれの幼少期から描いてくれている点はフィクションだからこそ出来るカメラの置き方。それににより極力フラットに個人個人に感情移入できるよう描かれている所が進撃の巨人の魅力だと思っています。それでも終盤の展開、エルディア・マーレの関係に割り切る絶対解を個人的に持てないのは自分が戦争当事者でないことや、描かれるミクロの良心よりもマクロに充満する強大な敵対憎悪感情に圧倒されてしまうからです。と思いつつもリアルタイム連載追い時はフロック寄りだったんですが今では反対寄り。(まあこれも代替案が無いのが自分でも苦しいとは思っているけどもゴニョゴニョ…)

ファンタジーだからこその別解(ジークの狙い)が提示されたりなんなら新しい抜け道が用意されていたりするのだろうかとも思いましたが本作は解決策を提示するものではありません。提示してたら現実で世界中が実践するわそれ。改変された対話シーンが良かったです。原作勢も一見の価値ありです。あとユミルのあそこの顔はちゃんと見せてほしかったねえ。
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