秀ポン

進撃の巨人 The Final Season 完結編(後編)の秀ポンのレビュー・感想・評価

5.0
流石に泣く。

高校の頃にアニメがバカ流行りして、もちろん自分も夢中になって、でも流行りすぎてちょっと逆張りしたりして、そのうちあんまり話聞かなくなって、数年が経って、しばらくぶりに読んだら(地下室に着いたあたり)バカ面白くて、そこまでの部分も読んだらずっと面白くて、マジでなんなんだ?この漫画?って思った。

アニメについて思い返すと、初代OPの「紅蓮の弓矢」っていうタイトルはエレンの曲として芯を食いすぎてて怖い。
放たれた弓矢は標的にぶち当たるまで真っ直ぐ進み続けるしかなくて、その在り方は、自由への衝動に囚われ、自分の意思では止まることもできない、実は誰よりも不自由だったエレンと怖いくらいに重なる。
(メタ的には、誰よりも不自由だったからこそエレンは進撃の巨人の最終継承者になりえたんだろう。自由意志を放棄することでタイムパラドックスを回避して未来視を可能にした「あなたの人生の物語」と似た理屈)

全てを燃やしながら進み続ける"紅蓮の弓矢"というモチーフはその後のLinked Horizonの主題歌に何度も再登場する。今回の主題歌「二千年…若しくは…二万年後の君へ・・・」にも。
今回その言葉は、一曲目でのヒロイックなイメージとは対照的な、破滅的なイメージを纏っていて、それは読者達がエレンに対して抱くイメージの変遷と一致している。
こういう風に同じ言葉の持つイメージが鮮やかに反転する様は、進撃の巨人のストーリーテリングそのものとも一致している。
とにかく、Linked Horizonが主題歌を歌ったことはこのシリーズにとって本当に幸運なことだったと思う。

「投げ返す石を 捨てられずにいる 臆病な俺たちが 見上げた空」
この部分好きすぎる。

ピーク、ガビ、ハンジが好き。


見返してもやっぱり泣く。
アニが絶望の叫びをあげながらウネウネを止めてるところとか。
全てが終わってリヴァイが涙を流すところとか。それに限らずみんなが再会を果たすシーンとか。

煙を吸ったガビが飛び立って行くファルコ達を見る眼差しも良かった。選ばれなかった人間が選ばれた人間に向ける眼差し。勇気付けて見送るわけでも、悲しむわけでもない、ただただ当惑したような表情。

ピークの「車力は勝つまで戦える」みたいなセリフはやっぱ激アツ。これは漫画でもめっちゃ好きな場所。
アニメだと、これまで常に冷静さを崩さなかったピークが、事態のあまりの残酷さに遂に絶望してしまうところも凄い良かった。あそこでマーレの3人が絶望したまま足掻いてるのが凄い悲しい。
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