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進撃の巨人 The Final Season 完結編(後編)の傘籤のレビュー・感想・評価

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2013年にアニメ化がスタートし、制作会社の変更や放送延期などを経て、ようやく今年放映された最終回。この度シーズン1から完結編まですべて観終わりました。「対巨人」というファンタジー世界を使い、「戦争の罪」「社会の分断」「人種差別」といった人類の負の歴史を描いた物語として、日本のみならず海外でも人気の作品。
完結編の最後はアニメならではの補足も入っており、漫画版以上に作者の伝えたかった意図が伝わってきて満足度の高い出来となっています。あえて単純に図式化すると、5人を救うか、1人を見捨てるかというトロッコ問題が主題として見えてきます。この作品においてエレンが選択したのは「仲間を救い、世界を滅ぼす」という行為だったわけですが、はっきり言って、その帰結自体はもう新しいものではなくなっています。ではこの作品の新しさは何だったのか。私は、そう選択した者、つまりエレンを「自由の奴隷」とした点だと思います。
いついかなる時も先へ進むこと、それを必ずしも肯定的に捉えるのではなく、歪で恐ろしく、非常に危険な思想にもなりえるということ。自分の手の届く範囲にいる大事な人だけを守るため「自由を求め続ける」ということがとんでもなく暴力的な行為だということ。最終章においてエレンを悪役に添えることで、その部分がより明確なものとなっており、『進撃の巨人』における作家性はその部分に現れていたと私は思います。

好きなシーンはエレンとアルミンが最後に会話する場面。ミサカのことを聞かれたエレンが「10年以上は引きずっててほしい」と言ってるところが情けなくて最高でした。

もっと長い感想は別サイトに書くかも、書かないかも。
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