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進撃の巨人 The Final Season 完結編(後編)のTのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

このエンディング、エルヴィンやピクシスが見たら発狂するんじゃないだろうか。何も解決できていないのに大虐殺はしたというどうしようもなさ。作者自身がこの物語のよりよい答えを用意できなかったといった印象。自分が大多数であるその「8割の人々」だったら、と思うと全く共感できない超低評価案件。

ファイナルシーズン以降の『進撃の巨人』の癌は、「巨人」が道具に成り下がっていて、観る人を魅了した「巨人」の恐怖やロマンが矮小化してしまったところにある気がした。「人類」vs.「巨人」の構図も、その「人類」が全人類のごく一部であったことが明らかになることで形骸化・陳腐化してしまった。ストーリーの都合上やむなしではあるが、風呂敷を畳むのに精一杯といった感じで普通に面白くない。先が見え透いているのにお誂え向きに拵えられている葛藤(結果が二択しかないので上手くいくことが目に見えている困難)も多くて、この時間、無駄だなぁと退屈することが多かった。

その他の要素でいうと、記憶の継承まではまあよかったんだが、記憶を改竄できるとか、未来が見える・未来を見させることができる・すべての未来が見えるわけではないので都合よく物語を進められる、といったご都合設定も個人的には合わなかったなぁと。

全部見終わって思うのは、『進撃の巨人』は美辞麗句が散りばめられたバカなテロリズム賛歌に着地してしまった、残念無念ということ。「心臓を捧げよ」が「天皇陛下万歳」に思えてくる。エレンは戦犯で、こういう人が戦争の元凶、まさに悪魔。巨人を消滅させたことで、過去を操作してこの大虐殺を未然に防ぐことも、憎しみの連鎖を断つために記憶を改竄することも出来なくなってしまった分、尚更タチが悪い。アズマビトがそうだったように、パラディ島にしかない資源を欲しがる国はいくらでもあるんだから、平和的に外交して誤解を解いていく手もあったと思うんですけどねぇ…。バカに力を持たせてはいけない、文民統制は大事だなぁ、と思いました。
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