元アイドルの少年が芸能界を引退してジョッキーになるべく騎手養成学校に入り、そこで出会った仲間たちの青春群像劇。
若者に限らず夢に向かって努力する話は好きだ。女性向けにイケメンキャラの仲間同士でわちゃわちゃするような展開も混ぜてはいたが、ストーリーは目標に向かって進んでいくというところはブレていなかったし、競馬というスポーツを題材にした作品も多くなく、手に汗握る勝負の世界ということもあって、いくらも面白くなる要素はあったと思うが、イマイチだった。
登場人物が少し整理しきれず、群像劇というスタイルで話が発散してしまったことで、一人一人のキャラの背景が見えにくい。特に主人公がトップスターを辞めてまで騎手になろうと思った理由もはっきりしないこともあって、主人公の物語性が弱い。強い意志をもって目標に向かうには、それ相応のきっかけがないと説得力が弱いというもの。
また、主人公はともかく、天音・グレイスや風波駿といった主人公と一番絡んでくるキャラクターがリアリティのない不思議ちゃん。序盤のわちゃわちゃした雰囲気を脱し、競馬特有のテクニカルな話などが出てくるようになって、ストイック度が増してきたにも関わらず、台無しにしてしまったようにも思える。
題材がレアで素材自体が面白いんだから、そんなに奇を衒う必要はなかったんだと思うのだが。