次郎

平家物語の次郎のレビュー・感想・評価

平家物語(2021年製作のアニメ)
3.8
前評判ほどのめり込めなかったのは諸行無常と言うには説明過多な演出のせいか、それとも原作のスケール故の尺の足りなさを感じたが為か。語りよりもキャラクターと演出に重きを置いた方向性はアニメとしては間違っておらず、高野文子デザインによるキャラクターに普遍的な魅力があるのは確かだし、何よりびわのほっぺが幼児感あり過ぎてふにふにしたい。
その中でも良かったのは音楽で、テクノやロックといった既存のジャンルの楽曲を古典の世界にマッチさせる手腕もさることながら、ハンス・ジマー的な重低音をがっつり鳴らしてた演出が素晴らしい。劇伴は電気グルーヴのサポートも務める牛尾憲輔が担当していたということで納得。羊文学によるOP曲も評判が高いけど、個人的には牛尾憲輔のソロ名義であるagraphのED曲が何より耳を引く。ANIのラップというより念仏に寄せたような抑揚のないフローもマッチしていたし、ブレイクからのサビに入ると思わせて全てが流れ去ってく引き算の美学、盛者必衰の理。これぐらいのドライさで全編作ってくれた方が好みだった。
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