あや

平家物語のあやのネタバレレビュー・内容・結末

平家物語(2021年製作のアニメ)
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このレビューはネタバレを含みます

祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

余韻に浸る、、儚くて苦しくて美しい。
有名な一節もこのアニメで濃く彩られた。

徳子贔屓なので、1人の女性の人生の物語としての一面にもフォーカスしてしまう。
憎しみの連鎖を断つために、「許して、許して、許す」と言いきる強さ。(「びわは、許したか?」と重盛を通してびわが自問するシーンも印象的)
望んだ未来を手に入れて不幸になってゆく平家とは対照に、「望まない未来が不幸せだとは限らない」と高倉天皇に忠義を尽くすが、後白河法皇への入内は清盛に対してもきっぱり断る。そして何より、命を賭けて帝を守る覚悟を決めていた。だからこそ、まだ幼い安徳天皇の入水はあまりにも無念。「波の下にも都のさぶらふぞ」と発した時子の心中も計り知れない。

敦盛、清経、維盛、知盛の最期もそれぞれ心に刻まれた。
栄華を極める平家の被害者の様に思えてならない。

びわのナレーションも琵琶の音とともに妖艶かつどこか達観したような語りで、時には目と耳を塞ぎたくなる場面もあった。
でも自らの目に焼き付けて語り継ぎたいという意志が立派だと思ったし、作者不詳の物語を一人の少女の視点で描くという手法も興味深かった。
あとOP映像と羊文学の主題歌も素晴らしかった!
あや

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