しおえもんGoGo

平家物語のしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

平家物語(2021年製作のアニメ)
4.3
シンプルでデフォルメされてるのにリアルで情感あふれる作画。
美しい自然の風景。しみじみとしみる琵琶の音。
とても素晴らしかった。

正直源平合戦については有名な八艘飛びや富士川の戦い等の有名なエピソードを知ってる程度だし、平家方の人は清盛、重盛、敦盛ぐらいしか知らないレベル。でももちろん結末は知っている。
重盛を中心にその子供達や徳子らに馴染み、どんどん好きになっていくにつれて定められた結末に向かうのが切なくてたまらない。
平家に父親を殺されて憎しみからスタートしたびわが、彼らを知るにつれて好きになり、その滅亡を知っても何も出来ない虚しさに悲しむのとシンクロする。

この世の栄華を誇っていたはずが、いつの間にか世間に嫌われ、都から追われ、誰も味方してくれずにひたすら落ちていく絶望感。そうだよな、彼らも人間なんだもの。
「勝つ方に着くものだ」と資盛に言われて「それでは誠実さや恩義は意味をなさないのか」と泣いた清経に「平家にはそれがあったのか」と問い返すシーンはグッとくる。
平氏の非道と同じ事を源氏もするし、源氏もこの後鎌倉殿の13人の世界が待っている。
諸行無常の中でも、ただ人の幸せと平安を祈る事、物語を語り継ぐ事。それしか出来なくとも、それを続けるいじらしさが美しかった。

安徳天皇があんなにデフォルメされてるのに、笛を食べるシーンとか滅茶苦茶可愛くて、出てくるだけでその最期を思って可哀想すぎる。

またびわの謡いは素晴らしくて、声優さんのパワーを再確認した。
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