湯っ子

コタローは1人暮らしの湯っ子のレビュー・感想・評価

コタローは1人暮らし(2022年製作のアニメ)
4.0
裏「ひなちゃんの日常」…

現実離れした言葉遣いと、神様仏様のようなメンタルのかわいらしい幼児というところは共通しているが、ひなちゃんが保守的で「古き良き」価値観の家庭から生まれた健康優良児なのに対し、コタローはいわゆる「現代の闇」である病んだ家庭から生まれた被虐待児である。
コタローの置かれた状況は過酷なのに、作品は優しさで包まれている。コタローのまわりにいるのは「普通」から外れた人ばかり。だからこそ見えるものがある、優しくなれる、真実を知っている、という描き方をしていて、彼らは助け合い、支え合って生きている。それができるんならもっと違う生活送れてるんじゃないの、と思ってしまうのは私もひなちゃん的な世界にいる人間だからかしら。本作が、ひなちゃん的世界に生きている人たちを冷たく世知辛い存在として描いているきらいがあるのは否めない。だけど、実際そういう側面もあるのだと思う。
こんな風に、痛みを持った隣人どうしが助け合う様子は家族と言っていい。その隣人たちが20代から30代という、これからの人たちというのもいい。これからの地域社会のひとつのモデルとなっていったらいいんじゃないかな。
コタローがとにかく健気で何度も泣いた。何よりも彼の目が、壮絶な過去を物語っていて説得力がありすぎる…そんな彼が本当に嬉しい時や楽しい時に見せるほんの少しの表情の変化に「…コタローきゅ〜ん!」と萌えてしまった。
エンディング曲のコトリンゴが、優しく包みこんでくれるようで、また涙を誘うのだ…

「ひなちゃんの日常」は、産經新聞朝刊に1998年から連載。朝日新聞の「ののちゃん」と比較した、ちょっと面白い記事をみつけました。
https://nationoflequio.hatenablog.com/entry/2016/06/10/213801
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