ウシュアイア

東京24区のウシュアイアのレビュー・感想・評価

東京24区(2022年製作のアニメ)
3.1
個人情報を含めた様々なデータを集積し、「KANAEシステム」と呼ばれるシステムによって事前に犯罪や災害を予測する「ハザードキャスト」が導入された東京湾に浮かぶ特別地区「東京24区」で起こる事件をシュウタ、コウキ、ランの3人の幼なじみが解決していくというお話。

プライバシーや自由の無い安全な社会か、プライバシーや自由が尊重されるが様々なリスクを抱える社会か、という命題は監視のネットワークやAIが現実社会に浸透し前者の実現可能に近づいているからこそ、様々な作品を通じて考えるべき命題だということには異論はない。本作もそんな問題提起を内包した作品の一つだ。徹底したシリアス路線を貫いた名作『PSYCHO-PASS-サイコパス』シリーズよりも若者目線で描こうとした制作意図も分からなくもない。

シュウタたちは不慮の事故で亡くなったコウキの妹アスミの声で過酷な選択「トロッコ問題」(犠牲の選択)に立ち向かうわけだが、「トロッコ問題」のドラマ性、そしてその背景の設定やプロット自体はよくできていたと思う。

しかし、シュウタの謎の超人化、ダサすぎるキャラクター、ダラダラと垂れ流される緊張感のない日常パート、陳腐なセリフ(11話の殴り合いは特にひどかった)、テーマ性とずれた作画・色調により、秀逸なSF設定が台無しにされていたように思える。

全体的にもう少しシリアス路線をとり、序盤でトロッコ問題をテンポよく畳みかけてから、真相→クライマックスと展開し、映像も作風に合わせたものにしていればもっといい作品に仕上がっていたと思う。
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