たも

トモダチゲームのたものレビュー・感想・評価

トモダチゲーム(2022年製作のアニメ)
4.0
 正直序盤はうんざりするほど退屈で何度も見るのをやめようかと脳裏を過った。この調子でいつまでもつまらないのかとぼんやりと画面を眺めていたら唐突に展開が二転三転しだして、気付けば夢中になってしまった。

 ミステリーみたいに謎解きをパッと見の印象と映像と展開から予想してその範疇を超えてくるとこの手の作品はアハ体験的な感じで満足を得やすいはずだけど、ゲームの内容や起きる事柄が草野球を見てるみたいな気分になる拍子抜けするものが多かった。こういうジャンルを浅瀬でチャプチャプしてたくらいの人間でもすんなりと想像できるトリックばかりだから、重たくて暗そうな作品性との相性が悪い気がするし、所詮はデスゲームの下位互換作品かとたかを括っていたけど、12話まで見て逆にこのチープさが相まって良さに転じてる気がしてる。

 まずなにより良い点は話がややこしくなくて、騙し騙されって設定上ごちゃごちゃしやすいはずなのにスッキリとわかりやすいところ。複雑じゃないキャラのおかげか素直に感情移入できるところ。この2点が自分的には評価マシマシ。扱ってるものが重たいのにライトな感じも面白かった。つまらないからおもしろいに転じるだけあって相当なポテンシャルを秘めた作品。
 2期ありそうな終わり方してたから楽しみにしてる。漫画も読むと思う。

 以下ネタバレ

 1個目のコックリさんがとにかく死ぬほどつまらない。あれ何の為にあったんだろうって考えても擁護できる素材がなかなか思い浮かばないくらいにはつまらなかった。漫画原作で連載がかかった1番大事な勝負の1発目のゲームであれって逆にすごくね?と思ったけど今思えばゲーム性じゃなくて心情の方に幾分か振り切った作品なんだと思った。
 2個目のすごろくも正直褒められたものじゃない。コックリさんのせいで序盤からメガネくんが主人公に貶められて負ける未来しか想像できなかった。すごろくの出目でいくらでも都合の良い展開に出来ることと神視点があることも作品性との乖離が見られる。例えばカイジの鉄骨渡りなんかは傍観者がゲームの内容に手を加えることができないからゲームに公平さがあるように見えたけど、このすごろくは最早なんでもありで、これから起こることは全て必然みたいな空気がチープさを際立たせていた。
3つ目のかくれんぼは今後の方針が決まった上で目的がはっきりした状態だったし、メガネくんと味方になると思ってなかったし色々と楽しめた。
12話はとんでもなく目まぐるしい1話で笑えた

 総括するとデスゲームよりも少し軽いトモダチゲームってタイトルと内容とが上手く噛み合った素晴らしい作品。
たも

たも