メモ魔

機動戦士ガンダムSEEDのメモ魔のレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダムSEED(2002年製作のアニメ)
3.8
ガンダムSEED

戦う意味について問いかけ続ける話だった。

やられる前にやる。
でないと自分は失うばかりだ。
そうやって小さい喪失感が大きい渦を呼び、最後人は核にまで手を伸ばすことになる。

強すぎる光は影も落とさないが、その後に何も残さない。
しかし弱い光は影を落とし、その影はより強い光を求める。
銃を使っても核を使っても、それが勝つためである以上その渦は大きくなるばかりだ。

そんなメッセージを50話かけてたっぷり伝えられた。
必要な戦いってこのガンダムSEEDを通して一つだってあっただろうか。

ラクスやキラのような、戦争だけはしたくないと切に願った人物でも、最後は戦争の最前線へ出ることになった。

みんなで仲良くしていこう。は力がある者しか唱えられず。しかし力のある者は妬まれ差別される。
人が戦ってしまう事は人の探究心や向上心がある以上避けられないものであり、また逆にそれが無いと人類そのものが続かない。
種の存続に戦争が必要というなら、この戦争もまた人類が生きていく上で必要であり不可欠な事なのかも知れない。

戦争って難しいなってまた作品から思い知らされた。じゃあ戦わなければ良いじゃん。で片付かないのは、いつだってそう唱える人間の後ろにはその人間に恨みを持つ人間がいるからだ。

【総評】
フレイの行動原理が最後まで分からなかった。
最後の最後まで、自分が生きるためには誰かに寄っかからないといけないって事を訴えてたキャラだった。多分フレイみたいな人間だけの世界なら、戦争は起こらないが人類は生きていけないだろう。自立できない人間って時点でフレイってキャラが自分には到底理解できなくて、正直嫌いだった。ストーリーに波風立ててくれるからフレイは必要なんだよ。なーんて言われると思うのだけど、いや、視聴者に不快感を与え続けるキャラはどうあれ必要ないよ。

Filmarksで脅威の4.1点をマークしていたってのもあるし、小さい頃に見ていたアニメがこんなに評価されてたら見るしか無いでしょ!のテンションで見にきたが、、、
正直少し残念だった。作者が視聴者に伝えたい軸は分かった。しかもそれを1話〜48話までしっかり貫いた部分はめちゃくちゃ見やすかった。12話構成で軸がブレブレな作品が多々ある中、このガンダムSEEDは48話通して、【あなたが戦う意味はなんですか?】を問い続けた。
軸があればフレイみたいなぶっ飛んだキャラが出てきても、
あ、このキャラはこういうことを言いたいがために出てきたんだなって納得できる。
そこは良かったし、フリーダムとジャスティスはミーティアが出てきてからというものカッコよくて仕方がなかった。
だがしかし、ここ1番の感動が薄い。
48話全てを見て、1番自分の心を揺さぶったのはカガリのこのセリフ。
アスランが自爆により地球を守ろうとするシーン。
【逃げるな!生きる方が、戦いだ!】
自殺という、アスランからしたら1番の苦痛であり諦めにも似た戦いを、カガリは頭から否定し、自殺は甘えであることを叩き込んでくれた。
そんな最高のシーンでも涙は溢れず。
んー、なんかこう、この作品はどこか感情移入できないところがある。
例えばだけど、戦闘シーンでは背景だけ変えて同じカットを何度も使うし。
キラやカガリの泣くシーンはどこか違和感があるし(※正直声だけで魅了されたのはマリューラミアスだけだった。ここに来ても三石琴乃さんが強い。)
数えたらキリないけど、一瞬で感情が現実に引き戻されるような冷めた演出が自分からしたら多かった。
別に今のアニメのような鮮やかで爽快感のあるアニメーションを求めたわけじゃなくて、その時代にはその時代にあったアニメの魅力があるはずで。それこそAKIRAやジブリ、攻殻機動隊にはそんな魅力が沢山詰まってた。この作品にはそれが感じられなかった。
この48話。24話に凝縮したら良い作品になると思った。

ごめん
3.8点
メモ魔

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