「おまえらもう付き合っちゃえよ」を飛び越えて「おまえらもう付き合ってんじゃん」系ラブコメ。
ファンタジーと割り切ってヒロインの可愛さを堪能することが正しい楽しみ方なのかもしれないが、浮世離れした設定がどうにも受け入れがたく…。互いに踏み込む勇気が持てない主人公たちと対比させるような友人カップル(樹と千歳)も上手く機能していたかと言えば、こちらの描写もおざなりで疑問が残る。ただ主人公の言い訳めいた独白が目立つ原作小説を思えば、より客観視できるアニメは幾分かストレスレスに眺めていられた。
ここからは気になった点を思いつくままに列挙。ヒロインに全振りして力尽きたのか、所々不安定な作画。主人公の容姿が場面によって幼く見えたり、定まらない感が最後まで付きまとった。パースの狂いやキャラクターの身長差に違和感を覚える場面も見受けられる。あと冒頭で車が右車線を走っていたが、あれは修正が入るのだろうか。不意打ちすぎて笑ってしまったよ…。主人公が前髪を上げただけで別人のように格好いいと世間の評価が裏返る世界に目眩を覚える。文章だと読み手の想像に委ねて誤魔化せたのか知らないが、映像にしてしまうと滑稽に映る。クラシカルな響きで物語に彩りを添えていた音楽は好ましかった。
