きまぐれ熊

リコリス・リコイルのきまぐれ熊のネタバレレビュー・内容・結末

リコリス・リコイル(2022年製作のアニメ)
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このレビューはネタバレを含みます

うーん、結局何がやりたいストーリーなのかが全くわからなかったな〜

アニメーションの美しさ、ガンアクション、音響(SE・音楽どっちも)は全部一級品。作画も凄いんだけど音も飛び抜けて質が良かったと思う。

ただ物語は何をやりたかったのか一切伝わらなかった。
どんな話?って訊かれてもログラインをまとめられない感じで。

シティーハンターをやりたいならそれこそここからの続きが重要だし、クルミとかサイレントジンとかリコリコの常連客とかサブキャラクターを深掘りしていく方が楽しそうだったけど、そういう日常回をメインで見たかった。
なんなら真島も哲学を掘りきれてない。終盤でビジュアルが完成した感じがあるしまだ語りきれてないでしょ。

千束の信念も描写が薄い。救世主としてのベイビーステップを見せるようなエピソードもなかったので、不殺の信念が記号的な理想としてしか伝わってこない。なので、こちらが当事者的に感情移入できない。千束ちゃん、仕事頑張ってんな、くらいのテンションでしか見れないのでシナリオ上あるはずの葛藤とか悲壮感が伝わってこない。本人のセリフからは達観だけを表現するので補完に結構な妄想力が要求されるというか。
ビジュアルとセリフはずっと綺麗なのでいい話をしているように見えるけど、結局のところ父親の庇護の元、理想を貫けている状況でしかない。ミカに心臓の負い目がなくなったラストで初めて、自分の力でどれだけ理想を貫けるのかが、千束のテーマとして面白くなるとこなのでここで終わるんか〜っていう肩透かし感がある。

個人的には千束は主人公向きのキャラではなかったな、という印象。なぜなら物語による変化がないから。
本来は依頼者を主人公にして、千束は超人であり続ける1話の様なスタイルを繰り返すなら見やすかったんだけど、製作陣がやりたかったのはそこではなかったみたいだし。
それならあくまでたきな視点でやるか、クルミを語り部にした方が綺麗だったと思うな〜。
きまぐれ熊

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