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リコリス・リコイルの秀ポンのレビュー・感想・評価

リコリス・リコイル(2022年製作のアニメ)
3.5
確かリアルタイムでは2話で切っていた。
ガンスリンガーガール的な悲壮感あふれる話を期待してたらそういうノリじゃなかったとか、そんな理由だったと思う。
2期が来るらしいと友人に聞いたので改めて見た。

何よりEDの花の塔が良すぎた。この曲を聴くために見たまである。
さユり。乱歩奇譚でのミカヅキからの彼女のフィーバータイムは、まだ自分がアニメをガッツリ観ていた頃のことだったので、かなり聴いていた。

そんでこの花の塔。
ミカヅキの航海の頃の悲壮感だとか孤独感だとかとはちょっと距離を置いた、ポジティブな曲調になってる。
何というか、さユりを知らない人とカラオケに行った場合、ミカヅキの航海の頃の曲は歌うのを躊躇するけど、これは気兼ねなく歌えそう。かなり良い。

君が手を差し伸べた光で影が生まれる

この歌詞が好きすぎる。
悲壮感や孤独感を捨てたわけじゃなくて、その出し方が変わっている。
1人から2人になることで世界が丸ごと変わってしまう、そんな幸せに対する不安という形でそれらの感情を歌っている。
このバランス凄い良い。

本編の話をすると、話はまあ、という感じだった。
脚本がガバすぎて真面目に見れないというのは、事前に知っていたので、そこはあまり気にしなかった。
しかし百合、もしくはバディものとしてもそんなにだった。たきなにとって千束は特別でも、千束にとってたきなは特別じゃなく、その上で、その不均衡についての話が描かれるわけでもない。
なので千束個人に注目して見ていた。

千束の不殺主義は、しかし博愛主義によるものではなく、人が死ぬとなんか気分が悪いからというもの。
これは視聴者の心理に近い。
強い美少女が銃を撃ちまくる様子は観たい。でも人死にとかはちょっと重くなっちゃうので勘弁。そういう欲求が視聴者と千束の間で共通している。

終盤では、そんな彼女がシビアな命のやり取りを強制されることになり、こちらとしてはどうなるんだろうと興味津々で見ていたんだけど、その辺はなあなあで済まされ、大人の手によって千束の預かり知らぬところで決着がつけられてしまい、なんだかなあという感じだった。

それと、管理社会への反逆者として、真島にはPSYCHO-PASSの槙島くらいの悪役ぶりを期待してたけど、それは荷が重すぎたみたいだった。
荷が重いというより、あえてしょうもない悪役を配置し、日常パートに対置される世界の話についてのパートをしょうもないものにしようとしているようにも感じる。

一個めちゃくちゃ良かったのは千束の声。
ダイナゼノンの飛鳥川ちせの声が超好きなので、千束の声も超好きだった。
事態に飛び込んで、内側で楽しみながらも、どこか達観し外側に立っているような、不思議に飄々とした感じ!
(ダイナゼノンのヒロイン2人がコンビ組んでるのアツいなとも思った。千束はちせ、たきなは夢芽)

声とEDがめちゃくちゃ良くて、女の子も可愛いので良いアニメだと思った。
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