tubame

デリシャスパーティ♡プリキュアのtubameのレビュー・感想・評価

3.7
「ご飯は笑顔!」をテーマに食事を通して人との繋がりや喜びを描く物語。


何といっても華やかで可愛らしいキャラデザは魅力的で、ひと目観た瞬間好きになってしまった。舞台となった食べ物屋さんが立ち並ぶおいし~なタウンもぬくもりを感じる楽しげな世界観が好き。
変身をサポートするエナジー妖精たちもとても可愛らしい。


料理というテーマは子どもの食育の面からみて凄く有意義な題材であったと思う。
ここねがメインの回は特に素晴らしいものが多かった。嫌いな食べ物についての回では従来の『好き嫌いせず食べる』or『無理して食べなくて良い』という次元ではなく「世界が広がるから試してみる」「皆と楽しい時間を共有したいから食べれるようになりたい」という前向きな文脈で語られたのが目が覚めるような思いだったし、
『食事は皆で食べるのも美味しいが、ひとりで満喫することも同じくらい素敵』と纏めた話も実に今風で良かった。


ただ素晴らしい回がある一方、話が粗い印象の回も多々あり。
主人公のゆいは終盤まで掘り下げがほとんどなく、「おばあちゃん言ってた~」の台詞が頻出するだけに自分の意思が薄く感じられることも。自分自身の強い意思と成長が見えた最終盤のゆいの描写は良かっただけに、元々真っ直ぐで迷いのない子の設定だとしても少し勿体無かったかなと。
ただ、スタート当初はゆいと登場人物一人一人との関わりがとても丁寧に描かれており好感を持っていたので、製作する東映アニメーションが不正アクセスの被害に遭って一ヶ月以上放送がなくなった影響も無視出来ないだろう。
玩具販売連動の作品であるだけに、それと関係のない登場人物の心の交流の話が削られたことは間違いなく、その点本当に残念だ。


本作は男性キャラクターが大きな役割を担ったことも特徴のひとつ。プリキュアたちを見守る所謂オネエ系の成人男性・ローズマリー(通称マリちゃん)、主人公ゆいの幼馴染み・拓海(ブラックペッパー)は、日常でプリキュアたちと交流しつつ戦闘にも参加するのが新鮮だった。
特にマリちゃんはプリキュアたちに助言を与えたり、導いたりする頼れる大人として大きな存在感があったが、それ故にプリキュアたちが自らが考え、答えを出す描写を所々で喰ってしまった感は否めない。
逆に拓海は思いの外登場回数が少なく、ゆい以外のメンバーとの接点が薄く正直仲間としての印象が弱く感じられた。二人ともとても魅力的なキャラクターだっただけに、出来ればもう少しバランスよく配置して欲しかったと思う。


色々課題を残したように感じられたシリーズではあったが、作品の優しさ温かさ、可愛らしいキャラクターたちの魅力は決して損なわれることはなかった。楽しい1年に感謝!
tubame

tubame