八雲

櫻子さんの足下には死体が埋まっているの八雲のレビュー・感想・評価

4.5
博識で美しい標本士の櫻子さんが、次々と事件の謎を解いていくミステリーアニメです。

作画もとても綺麗で、内容もサクサク進んで見やすいうえにお勉強になります。

【シェーレグリーン】『18世紀から19世紀初頭まで使用されていた顔料だよ。毒性のあるヒ素化合物だから今は使われていないがね。』

【黒】『黒は死の色だと思われがちだが、心理学的には、死の恐怖に強くあらがう戦いの色、“希望”なんだよ。』

【ダイヤモンド】『ダイヤモンドは油と馴染みやすい。本物なら油性ペンのインクが残るはずだ。逆にジルコニアなんかだとはじかれる。』

【モーニングジュエリー】『死者を悼むために作られた宝飾品。おもに欧米諸国につたわる伝統で、なかには遺髪や遺骨を加工してアクセサリーに仕立てる例も少なくない。』

個人的には、以下の磯崎先生の思考にとても近しいものを感じました↓

【自殺】『自分の命を自由にできる“権利”を持つからこそ人間なんだと僕は思う。自らの生と死を選択し、その責任を持つ。はたして僕たちに彼女の選択を否定する権利はあるのだろうか。

でも覚悟はしたほうがいい。もし彼女が見つからなくてもそれはあなたの責任じゃない。だから絶対に自分を責めちゃだめだ。その抜けない棘は君をずっと傷つけるだろう。その荊棘(いばら)はつるを伸ばすだけで決して花は咲かない。痛いだけだ。辛いだけだ。それでも君は彼女を探すの?』

そして最後の櫻子さんの台詞↓

『決して時は止まらない。永遠に動きつづけるんだ。土に埋めた死体がやがて白い骨になるように。

いいかい。時を止めてしまうのはつねに自分自身なんだ。未来にすくんで足を止めればなにも得られない。なにも始まらない。ただ死んだように生きるだけだ。

そうだよ少年。君が望もうが望むまいが時は止まらない。だからこそ見方を変えれば世の中ほど面白いものはない。

悲観するな。君はまだ灰になっていない。血と肉があり、骨がしっかり君を支えている。』

気付かされたり、励まされたりしながらあっという間に全話鑑賞しました。

人々を猟奇殺人へと導き、犠牲者から蝶形骨を採取する“花房”とはいったい何者なのか。続編がとてもたのしみです。
八雲

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