都部

金装のヴェルメイユ~崖っぷち魔術師は最強の厄災と魔法世界を突き進む~の都部のレビュー・感想・評価

2.7
主人公アルトとヴェルメイによる交際関係とほぼイコールな主従関係のドラマとしては筋が通った物語だが、1クール尺の物語構成としては不十分な点が多く、また展開の一本調子が目立つために満足度という点では些かの不足を感じさせる仕上がりとなっている。

キス。魔力補給と称して、とにかく二人がキスしまくる本編は私としては最高の一言なのだけれど、物語の停滞に位置する その描写以外の部分で語られる作劇の要素/情報は表面的に語られるばかりで各回とその繋ぎに締りがないのは否定できない。矢継ぎ早に対外的な問題に巻き込まれ続ける展開はともすればテンポが良いように錯覚するが、アルト/ヴェルメイルによる能力の覚醒や二人の愛頼りの解決策が連続することで、結果としてその展開に慣れを感じて次第に物語が緊張感を欠いていく。

脇を固めるキャラクター達もその個性は掘り下げがさほどされないが故に多層的とは言えず、特に物語の障害として立ち塞がる敵役(かたきやく)の三下的な振る舞いは障害を乗り越えた際に生じるカタルシスを削いでいるようにも思われた。漫画原作の事情もあり、大局的には物語は帰結を得ないのも物語を通した不満として大きく、二人の関係性の一旦の結実をゴールとするなら語るべきエピソードは絞る方が良いとも感じる。

本作は主にえっちな悪魔のお姉さんであるヴェルメイの全裸/またそれに近しい出で立ちが惜しみなく晒されるが、上手いことトップや局部を隠す画作りが成されており、振り返ると規制部分が一切なかった──それに準ずる形でめちゃくちゃキスするし逢瀬を交わすのはやっぱり良かったですね。以上。
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