カニ組長

おとなりに銀河のカニ組長のレビュー・感想・評価

おとなりに銀河(2023年製作のアニメ)
3.2
 ヒロインが宇宙人(正確には宇宙から来た寄生生命体と共存する島の民)の姫という面白そうな奇抜な設定があるにも関わらず、導入と中盤の展開ぐらいでしか使いこなせていない凡庸なラブコメ。
 正直この話、島育ちの普通の世間知らずなお嬢様が、漫画家に憧れて島を立ち、普通に漫画家である主人公と恋愛しましたという話でも十分成立していたと感じる。むしろ、このアニメにおいては、宇宙人の設定もトゲの契約も、蛇足でしかなかった。
 特にトゲの契約は、一応主人公とヒロインの関係を進展させる上で重要な役割を担う婚約の契約なのだが、その効果が、契約主と一定以上離れると体調を崩す、契約主の機嫌が悪くても体調を崩すというあまりにも束縛目的な内訳なので、誤って契約を交わしてしまった事から始まるロマンスよりも、その理不尽な効果に対する引っ掛かりの方を強く感じてしまった。
 唯一、その誤って結んでしまった契約を解除する際に、この契約を解いてしまったら、この恋愛感情は消えて無くなってしまうのではないかと主人公とヒロインが悩む、かぐや姫のジレンマ的な展開は面白かったが、それ以外では特に必要性を感じなかったので、いっそ普通のラブコメにするか、宇宙人設定の掘り下げがもう少しあれば、もっと輝いたであろう惜しい作品。
カニ組長

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