たも

STEINS;GATEのたものレビュー・感想・評価

STEINS;GATE(2011年製作のアニメ)
4.5
 よく人は記憶を消してもう一度観たいって表現をするけど、この作品も例外ではない。おそらく10年ぶりくらい2度目の試聴になった訳だが、それでも重要な事柄だけはどうしても忘れることが出来なかったらしい。もちろん当時の衝撃と同等かそれ以上の感動は味わえなかったが、細かい設定やら事象はすっかり記憶から抜け落ちていた。

 この作品の秀でている点はやはり人間関係の深さや想いの強さを共感できる点にあると思う。友情、青春、恋愛と万人が共感できるポイントに重点を振ってる点がこの作品の愛される所以だと気づいた。
 思うにタイムリープものはただでさえ共感しやすい(他人との関係や、起こった負の状況をやり直したい気持ちが強いから)かもしれないが、シュタインズゲートに関してはメリハリのついたギャグとシリアスの天秤が上手く釣り合っているように感じる。当方コメディが苦手な上にギャグのセンスが皆無に等しいが、それでも笑わせられる箇所が多くあったし、それに釣り合う重い言葉というか名ゼリフみたいなものが随所に散りばめられていて素晴らしいと感じた。

 前回見た時は年齢的に知っていることや、物の考え方が及んでなかったからか、ジョジョネタやら物語の世界観やディストピアやら先の展開の幅の広さを理解できていなかったように思う。それに付随してか、正直に言うと「伏線」「考察」という言葉にアレルギーを持っている身として、当時から今日までこの作品を持ち上げて絶賛する風潮が些か肌に合わなかった。良さを知っている、理解できている自分に教養があって偉い、分かっていること=この作品への愛の深さ、みたいなマウンティングをされている感覚になるからだと思う。音楽で言えばビートルズやボブマーリーやらサッカーならペレやらヨハンクライフみたいに神格化されているのは個人的に懐疑心があった。神格化されているものは全てそれ所以の頭一つ飛び抜けた功績やら、この上ない比較対象のいない前代未聞の素晴らしさみたいなものを抱えているものが多い。この作品が神格化されていることは言うに及ばないが、これこそがシュタインズゲートの選択なのかもしれない。
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